05/22
2017
「“見性悟道”、奥田政行シェフの実践」
こんな僕が、ある日気づいたんです という。
“生命のエネルギーはこの地球上で
絶えず循環しています。
そんな地球上の生きとし生けるものの命を
つなぐのが料理人の仕事。
食材のささやきをひと皿の上に現したい。
命は命によって生かされていることに
気づいた時に僕たちは地球上の循環の
一部になれるのです。”
まさにその道のプロフェッショナルとして
奥行きを理解しているからの言葉。
さすが奥田政行シェフ。
先日も、私たちの目の前で
その料理人としての腕さばきを見せてくれた。
それだけで会場の人たちはまるですでに
料理を味わっているような満足顔となってしまうのだ。
その会場で早速購入したのが
「食べもの時鑑(じかん)」という奥田シェフの本。
冒頭の言葉も含め、奥田流の考え方であり
メソッドが集約されていると言っていいだろう。
そのプライスは“10,000円”なのだが、
料理人としての哲理哲学もあり、
その使える内容からはリーズナブルと
言ってもいいように思う。
実は冒頭の言葉をくり返して読んでいて
頭に浮かんだのが、“石田梅岩の性理(せいり)の段”。
今から約300年前に梅岩が悟り、
塾で語っていたということとオーバーラップするのだ。
梅岩は“天道”のダイナミックな“正々”作用を語り、
生物の相互依存性と殺生の不可避性の自覚、
それゆえの謙虚な消費態度にまで話を展開していたという。
いかがだろうか。
最終の発信するカタチこそ違え、
その話の根はいっしょと言えるのでは!?
そして、奥田シェフは
“料理人は、それらの命をつなぐのが役割”
ときっぱりいい放っている。
奥田シェフはこの20年間、人間として料理人として
さまざまな厳しい体験をし、そして逃げることなく
追求し続けたことで、
梅岩と同様の悟りの境地に至ったのでは…
「見性悟道(けんしょうごどう)」という言葉がある。
自分本来の姿を悟り、実現に向かうこと(?)と
捉えているが、まさに奥田シェフは
そんな境地なのではと思ってしまう。
そのくらいこの「食べもの時鑑」に
展開されていることも、
このところの奥田シェフの話も
突き抜けた感が伝わって来る。
さて、私もそろそろ突き抜け「見性悟道」に
至りたいのだが、これがなかなか難しい。
情けない話、まだまだ煩悩がそれを阻むのだ。