05/07
2019
“この世の常”を知らないリーダー達へ
「ナスミちゃんって、私からみると伯母さんなの?」
母は、編み物をしながら
「みたいなもんかな」
「じゃあさ、ナスミちゃんが生きてたら、私、
ナスミ伯母さんって呼べばいいの?」
「そーなると、光は生まれてないんだよね」
と母は当然のように言った。
光は、驚いて凍りつく。
どういうことなのだろうと動揺する…
これは2019年本屋大賞にノミネートされた
『さざなみのよる』の一節。
(私も小さい頃、似たような事を言った記憶が…)
このところNHKの大河ドラマ「いだてん」の主役
6代目中村勘九郎を観ていてつくづく思うことが。
勘三郎が亡くなったことで
勘九郎がどんどん成長し、あそこまでなったのだということ。
勘三郎が生きていたらまだまだ親父に脚光は行っていただろうし、
「いだてん」役も回って来なかったことだろう。
そいう言えば…
勘三郎が生きていた頃、私の行きつけの神楽坂のワインバーに顔を出して
店のスタッフに「昨日はすまなかった」と酔っていろいろ迷惑をかけたことの
詫びを入れていたことがあった。
そこに出くわした私は、とにかく勘三郎の存在感を感じていたのだ。
(もっと仲良くなる機会が欲しかったのに…)
こんな存在感のある人が亡くなることは残念なことだが、
勘九郎であり次なる人の出番が回ってくるということでもあるのだ。
これは“世の中の常”。
私たちのビジネスシーンに於いても、
組織の中で、その人が死なないまでもラインから抜けることで
次なる人が登場し成長の場が創られるということ。
お〜そういえば、我が社も36歳の山田社長が試行錯誤しながらも
「いだてん」の主役を演じている。
(このところ、いい流れを創ってるねぇ〜)
もちろん主役を演じるにはそれなりの資質であり能力は必要ではあるが、
一見あれこれ不足のようであっても
その役回りが必要なものを引き出してくれるのだ。
(私自身がそうだったような…)
さて、“この世の常”を知らないリーダーがなんと多いことか。
こんな大きな変革を余儀なくされる今、
まだまだできると思う過信が大きなリスクを抱えることとなり、
次なる世代の出番をも奪うことにもなる。
“平成・令和維新”は「パラダイムシフト&リーダーシフト」ということなのだ。
(このコラムを読んで欲しいリーダーに届かないのも世の常だけど…)
今回のゴールデンウィークは敢えてビジネス本ではなく、
2019年本屋大賞関連の
『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ著
『フーガはユーガ』伊坂幸太郎著
そして『さざなみのよる』木皿 泉著と、3冊読んでみた。
これまでにない休日の過ごし方をしてみたわけだが、
手にした本はどれもエンターテイメントだけでなく、
これからのための何かしらのヒントを私にくれている。
(これも“世の常”)
さて、冒頭のシーンの意味が分からない人はぜひ本屋さんへ。
本屋大賞のマワシモノみたいな終わりかたになっちゃった。