04/21
2014
演劇“金閣寺”の仕事道
「柳楽(やぎら)くんがスゴく頑張ってたの。
吃音(どもり)の演技も自然だったし…。」
これは舞台「金閣寺」を観る前に耳にした、
30代(?)女性の感想コメント。
う~ん。まさにその通りだった。
とにかく舞台を走り回る、走り回る。
柳楽優弥氏扮する“溝口”は、
ほとんど舞台から降りることがなかった
(20分間の休憩時間だけだったような…)。
猫背の姿勢、表情、そのおどおどした喋り、
どれをとっても溝口になりきっていた
(いや、金閣寺を焼いた溝口というオトコを
知っているわけではないが…)。
そもそもこの三島由紀夫氏の
不朽の名作と言われる「金閣寺」は、
陰陽で言えば、“陰”の物語と言っていいだろう。
特に心に陰をもった(?)3人の若者の“情動”に
スポットを当てているため、スッキリわかり易く
展開する物語とは、かなり距離感を感ずるのだ。
あっ! 忘れてしまっていた。
この「金閣寺」を観るきっかけは、
演出家・宮本亜門さんとお会いしたことからだった。
はははっ…。
ついつい、その話のストーリーに注目してしまった。
とにかく、その“情動”を表現するのに、
狭い舞台ながら、さまざまな演出が凝らされていた。
照明も、ドンデンの方法も音響も
そして、“情動”を表現する
山海塾のような人たちの登場も…。
ニューヨークでも宮本氏のこの「金閣寺」が
注目された理由がわかるような気がする。
それにしても、3時間にも及ぶ、
物語の舞台を演出するのはそれはそれは大変だろう。
本当に充実した舞台演出を体験することができた。
この私も、いろいろなイベントを
企画・演出する者として(だいぶカテゴリーは違うが…)、
学ぶべきところがたくさんあった。
さすが、プロフェッショナルである宮本亜門氏の仕事だ。
やっぱり、プロフェッショナルにならなければ…。
私たちはつい稼ぐ対象として、
“仕事”をとらえてしまうが、
まずは、プロフェッショナルを目指さなければ、
“仕事道”には至らないのだ。