03/23
2015
無償の仕事道
この様子は、近くを通る人たちには
何をしているように見えているんだろう?
あたり前のように側溝のグレーチングを外し、
奥のゴミを横這いになってまですくい上げる。
そのすくい上げる柄杓(ひしゃく)の
ような道具も用意されている。
そして、その隣の人はあたり前のように
その目の詰まったグレーチング蓋をドライバーや
スクレイパーを使ってきれいにしているのだ。
その向うでは、あの重そうな鉄の踏み台を
持ち上げ 外し、その下に隠れていた缶や
たくさんのゴミをきれいに始末している。
(たまに、ネズミが走り出たりもする)
どれも当たり前のように静かに
事は進んでいく。
まるで、それぞれの業界のプロ職人のような
ダンドリと手さばきだ。
一輪車もあちこちで活躍している。
たくさん集められた、ゴミや汚泥を
効率よく運ぶためだ。
どの作業をするにも、あらゆる想定をされての
道具やノウハウが用意されていると言っていいだろう。
そして、7時近くなってくると参加している人たちが
ほうきや塵取り、そして収拾したゴミをもって戻ってくる。
すると今度は、ゴミ処理職人たちが活躍する。
次から次へと持ち込まれるゴミ袋。
その中はペットボトル、缶、ビン、
そして紙くずなどでごちゃ混ぜ状態。
そのゴミの山を、ハンパじゃないスピードで分別し、
あっという間に処理してしまうのだ。
(とにかく、神ワザ!)
ゴミ袋を手渡した後は、用意された水入りポリバットで、
掃除道具の洗浄に移る。
そのポリバットも、粗洗い用と仕上げ用が用意されている。
これも、必要以上の水を使わず道具を
きれいにするためということ。
(ここにもきめ細やかな発想が…)
そして最後は、みんなの手洗い場。
ここも洗剤プラス、3つのバケツとタオルが並んでいる。
とことん、至れり尽くせり状態と言っていいだろう。
道具の準備から含めても、
早朝の約2時間ほど、
150人の参加者で歌舞伎町を
かなりスキッキリさせてしまうのだ。
先程は、プロ職人のようなダンドリと手さばき~
と言ったが、あくまで無償の素人集団。
どんなにそのダンドリと手さばきがスゴくても
その目的は街をきれいにすることと、
自分を磨くためなのだ。
たとえ無償の行為であっても、
その活動の効果は計り知れない
リターンがあると言ってもいいだろう。
まちにも自分たちにもだ。
たかが“掃除に学ぶ会”。
が、しかし社会にとっていい効果を
もたらしていることは間違いない。
私も、10年お手伝いさせてもらって
やっとわかってきた気がする。