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08/22
2016

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強くて美しい、日本道へ

「内容的には満足できるものではなかったが、
柔道という競技のすばらしさ、強さ、美しさを
皆様に伝えられたと思う」

いや~すばらしい。日本らしい柔道だったと思う。
強さもあったし、一本を取れる技の美しさもあった。
そして、これだけ鍛錬してきたという自信もあったのだろう。

冒頭のこの言葉は、今回のリオオリンピック柔道で、
日本人最初の金メダルを獲得した大野将平選手のもの。
あのくらい圧倒的に強くないと、当然のように金メダル
は獲れないということだ。
男子は一応全階級でメダルを獲得したというから、
かなり頑張ったということ。

私も柔道と一時は真剣に取り組んできた者として、
日本の強くて美しい柔道をしっかり貫いて
もらいたいと思うのだが…。
(まぁ、ほとんどの人が私が黒帯をして青畳の上を
舞う姿を想像できていなようだが…、
はっはっはっ、けっこう強かったのだ。)

それにしてもである。残念なことだが、
柔道の“道”たるところが多くの出場選手
に伝わっていない。

ある試合では、一本で負けた選手が、
終わりの礼もしないで畳を降りてしまったのだ。
さすがに審判が声をかけ、礼を促してはいたが…
(とんでもない事である)
また、後半でしっかり投げられ、
そのショックからしばらく起き上がってこない選手は度々。

勝った側も歓喜のあまり、勝名乗りを受けないうちに、
応援団へ勝利のアピールを何度もしたりする。
(おいおい、まずは礼をして対戦相手を互いに讃えるんでしょ)

冒頭で紹介した大野選手は、決勝で審判からの
“一本”の声を耳にしても、
ガッツポーズをすることもなく、
静かに道着を正しながら、その位置に立ち、
対戦相手が所定の位置に来るのを待っていた。
これが本来の柔道の礼儀礼節なのだ。

本来の柔道とは…を語っていると思い出すのが、
52年前の東京オリンピックでの無差別級の
アントン・ヘーシンク選手と神永昭夫選手との
決勝戦である。

50代半ば過ぎの人でないと記憶にはないと思うが、
押さえ込みで勝ったのは神永選手ではなく、
残念ながらヘーシンク選手だった。

審判の“一本”の声が会場に響いた、その時だった。
オランダの若者が歓喜のあまり青畳の上に走り込んで来た。
それをヘーシンクは寝技を解くと同時にその若者を制し、
席に戻らせた。(そう、まだ試合の途中であり、
この神聖な場所をけがすなと言わんばかりに)

その後もヘーシンク選手はガッツポーズをすることもなく、
本来の礼をして神永選手の肩に腕を回し、
互いに健闘を讃え合っていた。

これが本来の“柔道”。
すなわち“道”を志す者の姿であり、
柔道のあるべき姿と思えるのだ。
まさに、儒教の教えである「仁・義・礼・智・信」
の実践とも言える。勝つことが優先なのではなく、
本来の道を歩むことの方が大切なのである。

だからこそ、日本の選手には、
本来の柔道のあるべき姿見せて欲しい。
そして結果として勝っても欲しいのだ。

そこで、柔道や剣道だけでなく、
私は仕事においても本来のあるべき姿であり、
通るべき道を歩んで欲しいという思いから
“仕事道”という表現をさせてもらっている。
この考え方こそが、自社の存続だけでなく、
人づくりであり、いい社会づくりにも
貢献できると思うからだ。

また、ムリやりビジネスの方に引き込んだ感はあるが、
私たちが追求する“道”には深い意味があるのは間違いない。

さて、こんなことを頭に巡らし、オリンピックを見ていると、
2020年の東京オリンピック・パラリンピックのあり方が
見えて来たような気がする。
テーマは“日本道”ってとこかな!?
とにかく、柔道だけでなく、すべての競技にこの価値観を反映させ、
勝った側も負けた側も、相手を讃え、
それから次なる自分の道を追求していく。

うんうん、すばらしい。

これなら、日本でオリンピックを開催する意味が
出てくるというもの。
仕事の取引きにおいても、この“日本道”すなわち
“和の道”を貫きたいものだ。

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柔道の大野将平選手

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リオオリンピックのついに終了へ

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