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06/05
2023

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『宇宙ベンチャーの時代』小松伸多佳&後藤大亮著

以下の1〜7の項目でどれが事実でしょう?

1.はやぶさ2がサンプルを持ち帰った小惑星“リュウグウ”丸ごとに対して、
ネット上で12兆円もの高値がつき、
2.月の土地が1万円以下で売りに出され、
3.3Dプリンタロケットが製造され、
4.宇宙ホテルの試験機が軌道上を回り、
5.NASAの入札で勝ち上がった民間ベンチャーが月への貨物輸送を受注し、
6.衛星の監視データから誰も知らない情報を得た投資ファンドが、
金融市場で大儲けをし、
7.政府予算の役割が縮小して、宇宙ビジネス市場全体の4分の3が
すでに民間主導になっている

これらはすべて事実で、2022年までに実際に起こっていること。
すなわち、これらは中島流では“すでに起こっている未来”ということ。

この冒頭の項目は、いま私の手にある新書の“はじめに”に書かれてある話。
サブタイトルには“経営の視点で読む宇宙開発”とある。
その著者の一人が東京NBCの仲間でもある小松伸多佳(のぶたか)氏。
この著者の二人ともJAXAの関係者でもあるので、
宇宙開発におけるさまざまなデータにも裏付けがあるわけだ。

小松氏は動画番組“Business Today”6月の収録にゲストで登場してもらい
この“宇宙ベンチャーの時代”について語ってもらう予定。
小松氏はベンチャーキャピタリストであり、JAXAの客員でもある。
ということから、世界の宇宙開発の今の動きを捉え、小松流に解釈している。
これからは宇宙ビジネスが加速して、どんどんその先へ進んでいくという。
もしかしたら、AIの進化の仕方も早いが、それと同じくらい?!
いやそれ以上に“宇宙開発ビジネス”が早く進むかもしれないというのだ。

【2021年が民間宇宙ベンチャー元年?!だという】
→バージン・ギャラクティク社がリチャード・ブランソン氏を乗せて宇宙へ。
あのバージン航空の創業者のブランソン氏だ。
→ブルー・オリジン社がAmazonの創業者ジェフ・ベゾス氏を乗せて宇宙へ。
このブランソン氏とベゾス氏は、なぜか“初の民間宇宙旅行”という
表現にこだわって争っていたようだが…
そんな折、マイクロソフト社のビルゲイツ氏は
“地上でまだまだやらなければならない課題がたくさんあるのに、
宇宙に行くなんて考えられない”と批判していたりもする。
→スペースX社のクール・ドラゴン宇宙船で、
3日間にわたって地球周回軌道を回る。

ということで、2021年が民間宇宙ビジネスの元年だという。
その後もこれら各社以外にも、宇宙に関係するビジネスベンチャーが
どんどん出てきているという。

とはいえ、この書籍で注目しているのは、宇宙ベンチャーの雄といわれる
“スペースX社”であり、そのCEOのイーロン・マスク氏。
私もみなさんもいろいろ知りたいはずだが、この著者の小松氏が
テスラ、X Corp.のCEOでもあるイーロン・マスク氏のことを
かなり贔屓目にたくさん語ってくれている。

【イーロン・マスク氏の経営資源の集め方が素晴らしい!】
後発のスペースX社が成長機会を獲得するには、
型破りな戦略が必要だった。
そこでワシントンて開催された宇宙航空関連の一大イベントでは、
未だ一度も打ち上げたことのない、打ち上がるかさえ定かでない
「ファルコン1ロケット」を特注の大型トレーラーに牽引させて
お披露目したという。
そして、イーロン・マスク氏は現状の宇宙開発に対する一大批判を展開。
“人類を火星に移住させる”ことや“打ち上げコストを100分の1に引き下げる”
ことを声高に訴えて世間の注目を集めた。
派手なパフォーマンスによる宣伝効果で世間の耳目を集め、
優秀な人材と技術を結集しながら道を切り開こうという戦略だったに違いない。
当然既得権勢力からは批判を浴びて炎上することは予定のうち。
マスコミの露出度は高まり、スペースX社への注目は高まったという。

ところで小松氏は、これら宇宙開発産業ベンチャーの経営から
多くの学ぶことがあるという。
→社員のモチベーションを保つ経営手法?!
→内製化による生産革新
→使い捨てにせず再使用によるコストダウン
→IT産業で培ったスピード重視の工夫
そしてスペースX社のロケット事業とスターリンク事業のコラボ展開が
大きな相乗効果を生んでいる。
スペースX社の最近のロケット打ち上げ頻度は、なんと週に1回以上だという。
(そんなに打ち上げて採算が合うのだろうか?)

小松氏が言いたいのは、“宇宙開発ベンチャーから経営を学ぶ”というより、
“イーロン・マスク氏”からこれからの経営でありビジネスを学べと
言っているように思えるのは私だけだろうか。

とはいえ、日本の宇宙開発ベンチャー含め宇宙ビジネスが
ここまで進んでいるとは?!
私たちのビジネスは地球規模で進んでいるのではなく、
宇宙規模で進んでいるということだ。

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著者の一人は東京NBCの仲間である小松伸多佳(のぶたか)氏

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