07/06
2015

吉田吉蔵氏の仕事道
長年愛用している吉田カバンのリュック型バック。
その6代目を注文しに、
旗艦店である表参道のクラチカを訪れた。
(実は以前1つ盗まれて、
5代目か6代目かあやふやなのだが…。)
その吉田カバンの創業者こそが、
今回ご紹介する吉田吉蔵(きちぞう)氏なのである。
久々にお邪魔した、
表参道の旗艦店はリニューアルされていて、
中央には吉田吉蔵氏の写真がドーン! と飾ってあった。
すぐれたデザイン性に加え、
丈夫なことでも知られる吉田カバン。
しかし歴代のカバンのうちの1つは、
4~5年も使ったせいか?
裏打ちが破れてしまい修理を依頼したことがあった。
8000円(?)ほど修繕費はかかったが、
戻ってきたときは見事な仕上がり!
当時、吉田カバンの職人たちが
修繕してくれることに感動したものだ。
多くのメーカーでは人件費の安い外国で
製造していることもあり、
修理などを請け負ってはくれない。
おおかたは新品を買ってくださ~い、
との返事をされてしまう。
生活者と製造元とは、一方通行な関係。
その点において、根本的に吉田カバンは違う!
生活者と製造元の間に、
カバンを介した相互のやりとりがある。
私なぞは丈夫で長持ち、修繕もしてくれる吉田カバンを
20年背負っているのだ!
吉田カバンの仕事道といえば、
一切海外で製造しないことも挙げられる。
丁寧な修繕は、100%メイドインジャパン
だからこそできること。
そして“すべて日本で”というこだわりは、
一針入魂を受け継ぐ職人の育成へ向けられている。
だからこそ、その品質が保たれることに繋がってきたのだ。
吉田吉蔵氏は自身が職人だったこともあり、
「一針入魂」という言葉を社是にもしている。
(野球で言うなら“一球入魂”というやつだ。)
未だにすべてのスタッフに「縫う」研修を行い、
「一針入魂がどういうことなのかを体現してもらっているという。
ひと針ひと針に魂を込め、しっかりと縫うその職人気質、
企業姿勢は、社員はもちろん多くのユーザーにも伝わっているだろう。
だから、選ばれる“吉田カバン”になっているということ。
やっぱり、どこにこだわるかを明確に打ち出した企業は、
そのこだわりが経営手法にも反映され、
結果、長く継続する企業になるということだ。
多少コストがかさんでも日本でやるという
吉田吉蔵氏の決断は、
しっかり行先を見たものだったように思う。
まさに私が提唱する“Think global, Act local”
(グローバルな考え方を持ち、行動はローカルに)であり、
“Think long range , Act tomorrow”
(ロングレンジの視点で考え明日を決断する)だ。
国内外を問わず、長く吉田カバンを支持する人が
多いことがその証と言えるだろう。
メイドインジャパンにこだわったからこそ、
今の吉田カバンがある。
これが“吉田吉蔵氏の仕事道”なのだ。