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09/26
2016

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石坂産業の“急がば回れ道(どう)”

「急がば回れ」とは、
みなさんもよく耳にする言葉だろう。
これは、急いで物事を成し遂げようとするときは、
遠回りでも確実な道を通れ、という意味。
(子どもの頃の私も、そそかっしくて
周囲の大人によく言われていたっけ…)

先日、掃除の会の催しの企業見学会で、
ビジ達ではおなじみの埼玉県入間郡にある
「石坂産業株式会社」を視察させていただいた。
(私もすでに5回以上、訪問させていただいている)

隣にある所沢市で例のダイオキシン問題が
報道されたのが1999年。そこから逆風が吹き荒れる中で、
石坂典子氏は2002年に社長に就任した。
そして今日に向けて、舵をとることになるわけだが…。

ここに至るまで先代と話し合いながら、
「地域に必要とされる会社」になるために、
さまざまな施策を行ってきたという。

施策といえば、新しい何かを…
という考えになりがちだが、
石坂産業の大胆でスゴイところは、
まず「捨てる決断」をしたってこと。
ということで施策のその1は、
15億円かけてつくった焼却炉を廃炉にしたこと。
(地域に歓迎されない焼却事業なら…という決断)

そしてその2は、地域のことを考えた
「全天候型独立プラント」の建設。
それまで露天がほとんどだった作業場に大きな囲いを設け、
徹底的に粉塵と騒音の対策を行うことにした。
これには約40億円の設備投資がかかったという。

施策その3では、作業場を囲ったことにより生まれた
不信感を払拭するために、その作業工程を
さまざまな角度から見ることのできる見学通路を、
2億円かけてつくった。
そこでは見られることで従業員の意識が
前向きに変わる、という思わぬ効果も生まれた。

施策その4は、周辺地域の清掃活動や
ゴミ捨て場となっていた雑木林の掃除から始まった
里山保全活動。
そしてその5は、国際規格ISO 14001とISO 9001の取得。
(業種的にもこれはとてもすごいことなのだ!)
もちろん、会社内の3S(整理・整頓・清掃)も徹底したという。

どれもすぐに結果に結び付くとは言えない施策であり投資だ。
だが、長い目で見ると、地域にとっても信用のできる会社と
なっていくためには必要なこと。
つまり石坂産業は、手間や時間のかかることをあえてやって、
「地域に必要とされる会社」になったってこと。

会社の寿命は長くなければならない。
だからこその「急がば回れ」。
いくら手間や時間、そしてお金がかかっても
それを決断した石坂産業の「急がば回れ」は、
まさに“仕事道”と言えるだろう。

そしてまずは捨てる決断をするなんて、
やはり選ばれるためには「大胆で潔い」
ってことも重要なんだよねぇ。
さて、未来を見据えて、明日からどう動き出すのか。
私たちもこの“急がば回れ道(どう)”の意識をもって、
時間と手間がかかっても大胆で潔い決断をしていきたい。

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掃除の会の企業見学会で訪問させていただいた

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石坂産業の社長である石坂典子氏

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施策として見学通路もつくった

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時間や手間をかけても「地域に必要とされる会社」へ

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石坂典子氏著『五感経営』

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