02/13
2017
「北の住まい設計社」のこだわりヴィレッジ
北海道の大雪山のふもと、
東川町の中心地から少し離れたところに、小さな廃校がある。
そこが「北の住まい設計社」の工房だ。
私がこの名前を初めて聞いた時、
てっきり住まいを中心に建築物を
提供する会社だと思っていたのだが…。
先日、東川町を訪問した際に見学させていただいたところ、
なんとそこには廃校を活用した工房のほかに、
おしゃれなカフェ&ベーカリーのお店があったのだ。
店内には大きな窓から光を取り入れたカフェスペースが広がり、
洗練されたインテリアが心地よい空間を生み出している。
パンだけでなく、地元の農産物を加工したジャムやコーヒー豆など、
選り抜きのこだわり食品が一緒に販売されている。
カフェの方では北海道産の小麦を使用した
パスタやニョッキを出しているという。
季節の素材にこだわったメニューは、
北海道の野菜や肉、牛乳を基本に、安心安全にも配慮していた。
味付けも調味料をあれこれと入れず、
素材の味を活かした調理法にしているそうだ。
(すばらしい!)
このお店も「北の住まい設計社」が運営するものだが、
あくまでも事業の一部。
先に紹介した、廃校の工房でつくる家具が本題なのだが…。
案内された建物に入ると、
目に飛び込んできたのは積み上げられた大量の木材。
何年も手間暇かけて乾燥させているそうで、
家具作りの材料も地元産にこだわっているという。
さらに別の部屋へ歩を進めると、
なんとそこはショールーム&ギャラリーというスペース。
ここは家具や生活雑貨を展示、販売している部屋で、
これを目当てにお客様が山奥まで来るそうだ。
ここの家具がそれだけ注目されていると
大手流通業者も来るようだが、
「北の住まい設計社」はそういった話にはまず乗らないという。
自分たちのこだわりを理解し、
それを望むお客様にしっかり伝えて
販売してくれる流通でないといけないのだ。
現在は直営店と理解あるパートナーのみに卸していて、
経済優先型の現代ビジネスにおもねらない企業展開をしている。
材料調達から家具作りまで、手間をかけてじっくり仕上げているのだ。
やっぱり、ここまで地域がものづくりにこだわらないと、
多くの人が選んではくれないということ。
そして、このカフェ&ベーカリーからショールーム、
いくつもの工房から木材管理建屋までとらえると、
もうそこはひとつのヴィレッジなのだ。
私たちも北海道芽室町で「土と太陽のヴィレッジ」
という計画を立てているが、それはワイナリー構想を中心にしたもの。
「北の住まい設計社」は家具づくりを中心にヴィレッジを展開していて、
そのこだわりと展開の仕方は私の期待を上回る素晴らしさだった。
「北の住まい設計社」がこの地に越してきて30数年が経つというが、
この場所を選んだことも、ものづくりの隅々まで
こだわっていることも、すべてに理由があった。
このこだわりこそが、
多くの人たちが今後も選んでくれる理由となるはず。
これぞこだわりのヴィレッジ、
こだわりの「仕事道」と言えるだろう!