09/14
2020
“プール冷えてます”は感性思考シナジー
8月31日で“としまえん”が閉園となった。
1926年からの営業で94年目にしての閉園だ。
名残を惜しむ多くの人が最終日に訪れたとニュースになっていた。
私にとっての“としまえん”といえば、1986年の
「プール冷えてます」のポスターが印象深い。
その頃、広告制作会社を創業して間もない私は
このポスターに大きな刺激を受けた。
(正直なところ、こんな仕事をしたいものだと思ったのだ)
このポスターは、文字がやたら目立ち、
浮き輪をつけたペンギンが右側に小さくいるだけ。
デザイナーは大貫卓也氏。
まだ20歳代の時にとしまえんのポスター制作の
担当となり、上司から、
「ポスターを見た人が思わず豊島園に行きたくなるような
ものを創るように」と何度も念押しされたという。
「プール冷えてます」というキャッチコピーも含め
インパクトがあり、上司の思い通りの出来に仕上がっている。
だが、大貫氏は大きな文字と、存在感の薄い
ペンギンのデザインが“ダサイ”と思った。
このポスターを世にだしたら、“ダサイデザイナー”として
レッテルが貼られてしまうのではと。
しかしながら、このポスターは大きな反響を生み、
大貫氏にとってはターニングポイントになる仕事となった。
この広告を機に、“カッコよさ”を捨て、“本来の目的を伝えることを重視”
する“機能する広告創り”を決意したのだ。
実際、このポスターにより、豊島園には多くの人が訪れ、
ブランディングにも貢献したわけだ。
その後大貫氏は、ペプシマンやカップヌードルの
“hungry?”のCMも世に出して話題になった。
その後も毎年の豊島園の広告は注目を浴び続け、
“ウォータースライダーハイドロポリス”
というアトラクションの広告では、
“流しウーメン”というコピーが話題になった。
(ウォータースライダーを滑り降りるビキニの
お姉さんとの兼ね合いが絶妙だったからだが・・・)
豊島園が100年弱も続いたのは、
このような広告によるブランディングがあってこそだったのだろう。
こんなことをとしまえんの閉園で思い出し、
あらためて、“プール冷えてます”は
“感性思考シナジー”であると!思ったのだ。
感性思考で“流れるプール”をつくり、それを感性思考でアピールする。
これが相乗効果につながったということ。
人の感性に作用し刺激を与え、本来の広告の目的である
行動につなげゆくのだ。
今、左脳思考から右脳思考の時代と言われている。
左脳思考では正解がでにくい時代にあって、
右脳思考の方が効果敵に機能するわけだ。
ロジカルで積み重ねて答えが出るのではなく
2,3段思い切って飛び上がるような発想をしないと
思った以上の相乗効果は得られない。
感性思考から生み出された商品と広告が
うまく作用してこそ相乗効果が生まれるというわけ。
さぁ、感性思考を意識しよう!
自分の頭をやわらかくして発想していこう!・・・
ではないか。