01/13
2015
“里山ワイナリー”の可能性
十勝平野といいながらも、日高山脈の麓にあるため
平野の隅っこにある私の生まれ故郷。
そんな山々の風景と、広大な畑を見ていたら、
「もしこの土地にぶどう園があって、
ワイナリーがあったとしたら…?」
と、ふと思いついた。
そんなことを思った矢先、
ちょうど私は玉村豊男氏の
『千曲川ワインバレー 新しい農業への視点』
を読んでいた。
その内容はと言うと、“ぶどう農園”と“ワイナリー”の話。
「里山ビジネス」が、“次の時代で活躍する可能性”
について語られているのだ。
私が以前から提唱している、
75年周期で時代の価値観が変化する流れを指す、
「パラダイムシフト75」。
現代はさまざまな面で過渡期を迎えているわけだが、
これからの75年は、経済効率よりもヒューマン効率の時代が
やってくると予想している。
すなわち、これまでの経済優先型の価値観では
選ばれるビジネスにはならない。
今後のビジネスのキーワードは“存在理由”だ!
例えば、北海道十勝には
池田町で作られている「十勝ワイン」がある
(ワインとして美味しいかは別として…)。
実はこのワイン、地域の人々の帰属意識や求心力を高め、
地域を活性化させてくれる大きな材料になっているのだ。
つまり「十勝ワイン」は、池田町にとって
存在理由のあるビジネスと言えるだろう。
また、ぶどうづくりは、同じ品種であっても、
その土地の土や気候によって仕上がりがかなり違う。
そこに人の手が加わることにより、
その土地ならではのワインが誕生する。
だからこそ人々は、その違いに注目するのだろう。
これがワインの素晴らしいところのひとつ!
さらに、ワインづくりには時間がかかる。
だからこそワインづくりやぶどう栽培は、
移り行く時代の変化に働きかける力を
持っているのではないかと思うのだ。
これらの価値を含め、中島流に
「里山ワイナリー」と呼ぶことにしよう。
「ロマネ・コンティ」を代表とするように、
長く続くぶどう畑であるからこそ、
独自のノウハウを築き、土地に根付いて愛されている。
そういったワイナリーこそが、
今後にも発展する可能性を持っているのだろう。
近年、里山ビジネスの重要性が
各地でささかれるようになってきている中で、
ワインづくりは農業の持つ価値を
しっかりと表現していると思うのだ。
特に“里山ワイナリー”は、
地域を発展させる役割も担っている。
これからの75年(先の未来)で
可能性に満ち溢れているのは、
工業製品や商業などではなく、
きっとこの“農業”だろう。