07/13
2015
「先義後利」マーケティング
「いつもありがとうー! 愛してるよー!」
忙しさで家族を省みない家庭が増える中、
こんな風にキャベツ畑の中心で
妻への愛を叫ぶイベントがある。
キャベツ生産量日本一の
群馬県・嬬恋村で行われている
「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ(通称キャべチュー)」だ。
今年で10周年を迎え、
今までに大勢の愛妻家(?)が参加し、
このイベントをきっかけに、
地域の知名度もアップしたという。
このイベントを発案したのは
株式会社スコップの代表取締役社長である山名清隆氏。
ソーシャルコンテンツプロデューサーとして活躍する山名氏は、
キャべチュー以外にもユニークな視点から
現代の課題解決(ソリューション)に向けた
プロジェクトを提案している。
例えば、首都高速道路で多発していた交通事故を、
コミュニケーションをもって
減らそうと発案された「TOKYO SMART DRIVER」。
“ホメパト”と呼ばれる専用のパトカーが
周囲に配慮した運転を行うドライバーを見つけると、
近づいて積極的にドライバーを褒めるというものだ
(実際に首都高を走っているらしい)。
キャべチュー同様、これにも多くの人が共感・参加し、
参画する企業も増えているという
(そしてこれがきっかけかは不明だが、
事故件数も減っているそうだ)。
多くの課題を抱える現代において、
このような多くの人が共鳴して賛同したくなる
ソーシャル性の高いプロジェクトは、
近年注目を集めつつある。
中島流に言えば“「先義後利」マーケティング”が
今後のビジネスに求められているということだ。
なぜ“「先義後利」マーケティング”なのか。
それは、これまでの自社の利益を優先した
我田引水型の広告・宣伝からの転換期を迎えているため。
課題解決をテーマにし社会性ある発信をすることで、
それに対し共感・パブリシティをもって広まっていく
マーケティングの方向へ時代が変わりつつあるからだ。
先ほど紹介したプロジェクトは、
どちらも現代が抱える課題に対する
解決策としての提案であり、
直接的に何かを宣伝しているわけではない。
しかし、それに賛同した人々によって活動が広がり、
結果的に大きなプロジェクトへと変化していったのだ。
まさに、「義」を優先した結果の
大きな「利」といえるだろう。
山名氏は他にも、「MIZUBERING(ミズベリング)」という、
全国の水辺を中心とした環境づくりによる
地域活性化プロジェクトなども行っている。
様々な発想から生まれる
“「先義後利」マーケティング”が、
今後ますます広がっていくのは間違いない。