03/18
2013
経営にマジックはない
“鉄の淑女”と呼ばれた元イギリス首相、マーガレット・サッチャー氏。
首相引退後の来日講演での質疑応答にて
「このところ日本は厳しい状況が続いています。
あなたが首相だったらどんな政治をしますか?」
と尋ねられ、彼女が返した言葉は一言。
「政治にマジックはない」
ひゃ~~~なんともクールで簡潔な答え!(さすが鉄の淑女…)
確かにごもっともな答えだ。
この言葉、「経営にマジックはない」と言い替えられないだろうか。
政治でも経営でも、一瞬で物事をサッと変えるマジックなんてありえない。
稲盛和夫取締役名誉会長による日本航空の再建が
“稲盛マジック”なんて表現されていたが、
そこにあったのは決してマジックではない。
「日本航空が潰れることはないだろう」なんて
甘く考えていた社員たちとの真剣勝負だったはず
(日本航空の現社長がある情報誌で語っていた)。
1つの画期的なビジネスモデルやシステムを編み出したとしても
あくまでそれは短期的なものに終わるだろう。
5年、10年、30年…と長期的な経営を続けていくためには、
そのプロセスにおいて必ず“人”の成長や企業風土(文化)の形成が必要だ。
一時の儲けを求めるのではなく、人間として、プロとしての成長を追求する
“仕事道”の展開があってこそ経営は永続的になる
(“仕事道”とは、人間性の向上を意識しプロとしての鍛錬を続けることで、
個人の成長が相乗効果を呼び結果的に組織も成長するという私の持論)。
さらにお客さまや地域の人、そして社員との信頼関係があってこそ
企業は前に進んでいくのだ。
どうも最近の日本は、“経営=仕組みづくり”という発想や、
目先の利益に走りがちだ。
“マジック”のような画期的施策がどこかにあるなんて思っていてはダメ。
長期的な繁栄のためには、着実な積み重ねこそが実を結ぶのだから。
すなわち、「経営にマジックはない」ということだ。