06/02
2014
「パワーアップ工事中」の裏側
24時間営業のすき家。
近頃、「パワーアップ工事中」なる貼り紙が貼られ、
一時的に閉店している店舗をよく見かける。
パワーアップ工事中と書いてある割には、
工事をしている様子もない…。
インターネットで調べてみると、
人手不足で閉店している模様。
どうやら一番の原因は、近頃登場した
「牛すき鍋定食」にあるようだ。
競合他社に対応できるような
鍋メニューを追求した結果、
手間と材料費のかかる
牛すき鍋定食ができあがった。
そしてコストダウンを求めた結果、
そのしわ寄せは人件費に。
すき家の各店舗では、
24時間営業の中のある時間帯、
1人で注文を受けて接客し、調理もこなす
「ワンオペレーション」なるものがあるという。
インターネット上には、アルバイトスタッフの
悲痛な叫びが書き込まれている。
かたや何かと話題の居酒屋・和民。
年内に約60店舗が閉鎖される予定だという。
そのぶん近隣の店舗に
スタッフを動かして人手不足を
解消することが狙いだ。
これまで1.66人だった正社員を
1.83人にするという。
え~~? 1.83人しか正社員がいない
環境もどうなのだろうか…。
飲食業界は特に競合他社が多い。
すると当然価格競争になり、
加えて新しいメニュー開発の競争も起きてくる。
他社に勝てるようなおいしさを追求したいが、
価格も抑えたい。そう発想していくと、
コストダウンの矛先は人件費に向いていく。
チェーン店にはよくあることだが、
本部の発想でマニュアルをつくり、効率を求める。
そして、競合への対応も
本部の机上の空論でつくられ、
各店舗に展開される。
あくまで本部の論理で展開されるわけだから、
現場はなかなかその通りにはいかないもの。
しわ寄せはどこに行くのか?
それは間違いなく“人”だ。
事実、働くスタッフたちは
過酷な労働環境を強いられ、
お客さまに十分なサービスを
することも難しいだろう。
いろいろな条件を欲張りに
突破しようとしても、そこには無理がある。
目標利益を掲げ、販売目標値を設定し、
コストや人件費を割り出していく。
そして、その机上の空論は結果として
「パワーアップ工事中」を招くことになったのだ。
つまり、“働く人”への思いやりが
どこかに置き去りにされているということ。
私がビジ達でず~~っとその問題を指摘してきた
“経済効率”優先のビジネス。
それがついにカタチとなって
露見してきたのではないだろうか。
やはり継続するビジネスは“人”あってこそ。
効率と利益だけを追求した考えは、
そろそろ見直すタイミングに来ているだろう。