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熟ジュクア・ラ・カルト

03/28
2016

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原発被災も“効率の裏側”

あれから5年…。今年はこの言葉をすでに
何度も耳にした。そう、福島の原発事故が
起こってから5年の月日が流れたのだ。

先日、千葉の東金市で開催された
「あれから5年 わたしたちは何を学んだか」
というイベントに参加してきた。

そこで、河合弘之という弁護士が自費で制作した
ドキュメンタリー映画『日本と原発 4年後』を
観ることになり、そのプログラムにはこんな文
章があった。

「ピラミッドのように積み上がりながら故郷を
侵蝕し続ける行き先のない放射性物質、廃炉ま
で40年。原発事故に暮らしや夢をうばわれた人々
の苦しみ、低線量被曝とは? 母親たちの苦悩に
答えはあるのか?―(中略)― 原発の仕組み、
歴史、原発事故から現在に至るまで弁護士の
視点で描く日本の原発のすべて。」

この河合弁護士の映画は私にとって深く共感
出来るものだ。そして鑑賞後、会場にいた多
くの人の心にも何らかの形で響くものがあっ
たことは間違いないだろう。

私はもともと福島の原発による被災は「人災」
であると考えている。(この映画で河合氏もま
さにそのことを言っているのでは、と感じた。)

そもそも人間が自由に扱えないレベルのものを
都合の良い面や効率の良い面だけを見て取り込
もうとすると、必ずどこかで誰かがリスクを被
ることとなるのだ。

1986年のチェルノブイリの原発事故から25年後
に起きたこの福島の原発事故。そしてそれから
5年が経った。

この30年間の中での2度の大きな原発事故で私た
ちが学ばなければいけなかったこと。それは便利
や効率の裏側にある大きなリスクの存在に、目を背
けてはならないということなのだ。そしてそのリス
クの対象となるのは常に弱い立場の人たちである。

場合によっては、リスクを自ら選んだ人たちでは
ない人たちにそれが浴びせられることもある。50年後
100年後に影響が出るというリスクの先送りまでも
あったりするのだ。

目先のことではなく、数十年後、数百年後のことを
考えたときに、便利や効率をひたすら貪っていると、
当然人類の存続にまで影響することになるのだ。そ
んな“効率の裏側”にあるリスクのボーダーライン
を私たちがきちんと意識していなければ、とんでも
ない危険性を孫子の代に残すことになるということ。

未来のことを考えるのであれば、優先すべきは便利
さや効率の良さの追及ではなく“足るを知る”という
価値観を大切に持つことだろう。

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『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』

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経験をもとにしたルポルタージュ漫画作品だ

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その内容には海外メディアも注目している

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あれから5年 わたしたちは何を学んだか

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