01「ニワトリを殺さない卵」
- ■ 鶏卵生産の影で犠牲になっていた雄ヒヨコ
- ■ 動物保護機運の高まりを受けフランスで法整備
2021年7月、フランスは養鶏業界で行われている雄ヒヨコの殺処分を2022年から禁止とすると発表した。鶏卵を生産しない雄は雌に比べ可食部が少ないこともあり、現在は孵化から72時間未満に粉砕機やガスによる殺処分が行われていた。2022年からは卵の段階で性別を判定できる機械の導入を義務化し、孵化前に処分するようになるという。
鶏卵メーカーであるpoule houseは2019年には同様の仕組みで雌だけを誕生させる体制を構築し『ニワトリを殺さない卵』というキャッチコピーですでに製品化している。フランスをはじめEUでは家畜の苦痛を減らす「アニマルウェルフェア」(動物福祉)への取り組みが広がっていり、鶏卵にとどまらず今後は豚や牛、アヒル、ガチョウといった家畜にもさらなる保護施策が打ち出されそうだ。
【参考URL】
https://www.designstoriesinc.com/europe/poussin/

02「やさしくないミュージアム」
- ■ パラアスリートのプレーを体感
- ■ 車いすに乗ってめぐるミュージアム
8月27日から3日間、東京・豊洲の「WHO I AM HOUSE」で車いすに乗りながらパラアスリートの身体能力やテクニックを体感できる展示『やさしくないミュージアム』が開催された。
展示では入り口で車いすに乗り、テニスのターンを始めとするチェアワークを体感する「まっすぐすすめない展示」やラグビーの激しいぶつかり合いを模した「重すぎる扉の先にある展示」など、快適ではない(やさしくない)体験によりパラアスリートのプレーの凄さを実感できる仕組みになっている。オリンピックに比べ世間的な注目度では劣ってしまうパラ競技を、実際に体感することで効果的に魅力を伝えるコミュニケーションになっている。
【参考URL】
https://www.elle.com/jp/decor/decor-interior-design/amp37353971/the-unfriendly-museum-2108/

03「TORIKI BURGER」
- ■ 低価格居酒屋からハンバーガー業界へ進出
- ■ 夜の時間と同様に顧客をつかめるか
ちょい呑みしたいビジネスパーソンの味方「鳥貴族」が新たな業態へのチャレンジとして、東京都大井町に1号店をオープンしたチキンバーガー専門店が『TORIKI BURGER(トリキバーガー)』だ。新型コロナウイルスの影響により外食産業は大打撃を受けている一方、テイクアウトのハンバーガー業界は売上を伸ばしていることが背景にある。
得意のチキンを使用したメニューを中心にチキン、野菜、バンズなどを国産にこだわることで他のチェーンと差別化を図っている。鳥貴族の子会社となるTORIKI BURGERの社長には日本マクドナルドから転職した経歴を持つ高田哲也氏が就任。群雄割拠のハンバーガー業界で顧客をつかめるか注目だ。
【参考URL】
https://www.itmedia.co.jp/business/spv/2108/17/news107.html

04「ハラール物流」
- ■ 製品をムスリムにとって安全に輸送する物流
- ■ 日本通運がハラール認証に対応した輸送サービスを開始
多国籍料理などが人気を集め、異文化への認識が急速に浸透しつつある昨今。そんな中、全世界人口の約2割を占める、ムスリム(イスラム教徒)の考え方にも注目が集まっている。
イスラム法において、合法なものという意味を表すハラール。その代表例が豚肉や酒だが、身につけるものや医薬品なども厳しい規定があるという。さらに、物流過程でもハラール認証を受ける必要があり、製品・商品をムスリムにとって安全に輸送する物流『ハラール物流』も拡大している。日本通運では、2021年3月からハラール認証に対応した国内初の航空貨物輸送サービスを開始。他にも多くの企業で、ムスリムへの配慮やハラール認証の取得が進んでいるという。今後、国内でも当たり前にハラール認証を求められる時代が、やってくるかもしれない。
【参考URL】
https://maonline.jp/articles/hakobu_ma_1

05「水素船」
- ■ 水素を燃料とする旅客船
- ■ 広島県尾道市の造船会社が開発
石炭重視姿勢が強く、自然エネルギーの導入に時間を要しつつある本国だが、政府は2030年度に向け、温室効果ガス排出量を46%削減する目標を示している。そんな中、国内初の水素を燃料とする旅客船『水素船』が誕生した。旅客船名は、ハイドロびんご。燃料の水素と、船が作られた備後地域(広島県尾道市)から名づけられたという。二酸化炭素を出さず、究極のクリーンエネルギーとも言われる水素だが、技術的な扱いが難しいのが懸念点だった。そのため、まずは軽油と一緒に燃やす混焼を採用。水素がなくなっても軽油だけで走行できるメリットもあるという。造船会社が市場開拓のために、先陣を切って始めたこの取り組みは、最終的に環境省事業の一環となった。脱酸素社会に向け水素をいかに活用するかが、今後の重要課題となっていきそうだ。
【参考URL】
https://bit.ly/38uXnQx

06「冷凍自販機」
- ■ 実店舗の商品を冷凍加工し、自販機で販売
- ■ 非対面・接触や冷凍食品需要など、多くのニーズに対応
コロナ禍の状況下で、飲食業界では景気復興に向けた戦略やサービスが後を絶たない。自動販売機を活用した『冷凍自販機』もそのひとつだ。
冷凍食品を店先などに設置した自動販売機で展開する「冷凍自販機」。無人で24時間販売することが可能となるため、時短営業する飲食店の打開策として見込めるという。さらに、テレワーク普及による冷凍食品の需要増加も相まって、多くのニーズへの適応が期待されている。東京・築地の定食店では、「いくら」と「西京焼き」が冷凍販売され、他メーカーでは「マカロン」や「カキフライ」を販売するなど、冷凍加工することで販売販路が大幅に拡大できるという。インバウンドが絶たれているいま、国外に設置した「冷凍自販機」で、日本のメーカー品を購入できる日も、そう遠くはないだろう。
【参考URL】
https://bit.ly/38oJhA4

07「グリーンウォッシュ」
- ■ グリーンとホワイトウォッシュを合わせた造語
- ■ 企業イメージ向上のために環境配慮を利用
近年、地球温暖化問題が深刻化する一方、環境保全の取り組みも急速に拡がりをみせている。そんな中、企業がブランドイメージを向上させる手段として、環境配慮を利用する『グリーンウォッシュ』と呼ばれる事例も増えているという。
「グリーンウォッシュ」とは、環境に配慮するイメージのある「グリーン」と、ごまかしや上辺だけという意味の「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語。何の根拠もない「認証済み」や「エコ」の表現が使用されていたり、サービスに関係のない「自然」の画像が掲載されているなど、企業によってアピール方法は様々だという。今後「グリーンウォッシュ」を助長させないために、消費者側も透明性がある情報なのかを見極めていく必要がありそうだ。
【参考URL】
https://ideasforgood.jp/glossary/greenwashing/
