01「隠れ倒産」
- ■ 自主的に事業停止する中小企業
- ■ 後継者不足・原料費高騰が背景に
アベノミクスによる景気回復に沸く日本だが、その一方で余力を残しながら事業停止する『隠れ倒産』が急増しているという。2013年の休廃業数はおよそ3万件で、過去10年で2倍に達した。債務超過でやむを得ず追い込まれる「倒産」に対して、借金のない状態で自主的に会社を整理するのが隠れ倒産の特徴である。その背景には、原油などの原料費の高騰が一部中小企業に転嫁される現状や、後継者不足で先行きが見通せないことが挙げられる。「周囲に迷惑をかけないうちに」と、経営者は自ら倒産を選んでいるというわけだ。中小企業の資金繰りを支援する中小企業円滑化法が終了してしまった今、金融機関が融資を厳格化すれば、中小企業の資金繰りは一気に苦しくなることが予想される。大企業優先と批判されがちなアベノミクス。中小企業の先行きに明るい未来は見えるのか。

02「地域人材バンク」
- ■ 官・民一体の「人育て」
- ■ 地方人材の定着を狙う
地方過疎化の一因として、都市部に比べて若者の仕事が少ないことが挙げられている。そこで、政府は新たな成長戦略の一環として『地方人材バンク』創設を決定した。これは、地方経済を活性化するために地元企業・地方自治体・大学・金融機関の全てが連携して地域産業の担い手を育てるというもの。まず大学で若者を育成し、自治体と企業は協力して雇用を確保する。そして金融機関はそうした企業を融資の形で応援するという流れである。さらに地方で女性や若者が創業しやすいよう、担保に依存せず、事業そのものの将来性を評価する銀行融資の促進も盛り込まれた。安倍政権の経済政策が都市部優先であるとの批判がある中、この地域人材バンクによって景気回復の波は地方にも及ぶのか。結果によっては安倍政権の評価をも左右する鍵として、その実現が待たれる。

03「ファミレス呑み」
- ■ 格安ワインに豊富なおつまみ
- ■ 「居酒屋よりも居心地が良い」と好評
かつては赤ちょうちんが目印だった居酒屋も、若者に向けて多種多様な形態やサービスを提供しているところが増えた。そして近年、そんな居酒屋よりも人気が高まってきているのが『ファミレス呑み』だ。これは、まるで居酒屋のようにファミリーレストランでお酒や食事を楽しむというもの。この背景には、通常の居酒屋に比べて、ファミレスの方が格安のお酒や豊富なおつまみを気軽に楽しむことができるというのがあり、お酒が苦手な人にとっても、ファミレスの方が居心地が良いという。お財布にも人にも優しい新たな呑みスタイルは、飽和状態の居酒屋業界に新たな刺激を与えてくれるかもしれない。

04「電話リレーサービス」
- ■ 聴覚障害者に向けた便利なサービス
- ■ 聞こえる人と聞こえない人をつなぐ
私たちの生活に欠かせない“電話”。もし電話が使えなければ、仕事をすることも難しく、病院や飲食店などの予約も気軽に出来ない。そんな中、日本財団が試験的に始めた『電話リレーサービス』が注目を集めている。これは、電話コミュニケーションが困難な人のためにオペレーターが介在し、双方向の会話を文字や手話などで中継支援するサービスのこと。電話手配しなくてはならない出来事があったとき、家族や近親者の手を借りずに電話をかけることが出来るため、利用者からは喜びの声があがっている。現在、海外では導入している国も多いというが、残念ながら日本ではまだほとんど認知されていないのが現状だ。今後日本でも、聴覚障害を抱えながらも、電話をかけることが当たり前な社会になることを期待したい。

05「バニシングスプレー」
- ■ 1分で消えるラインマーカー
- ■ 環境保護を考慮した道具
2014年ブラジルW杯開幕戦で、ブラジルにゴール正面からのフリーキックが与えられた場面。主審がおもむろにスプレー缶を取り出し、壁を作るクロアチア選手の足下に白線を1本引いた。この白線は1分経つときれいさっぱり「消える」ことから、『バニシングスプレー』と呼ばれている。すぐに消える理由は、スプレー自体の配合成分が水(約80%)とブタン(約20%)を主成分とし、そこに界面活性剤やその他の成分が約1~2%加わっている程度なため。さらに、ほとんど薬品を含まないことからスプレーを使用する際に芝生を傷めずに済むのだ。現在までにバニシングスプレーはサッカーで使われていることが多いが、環境保護の観点から他の競技にも転用されていく可能性は十分にあるだろう。

06「水信玄餅」
- ■ “まるで水滴を食べるよう”
- ■ 水の郷が生んだ話題沸騰中の和菓子
四季の表現を大切にし、伝統的製法でつくられる日本の和菓子。花や動物といったモチーフを使う繊細なデザインは、海外でも人気を博している。そんな中、新たに話題となっている新感覚の和菓子が『水信玄餅』だ。これは、南アルプスの伏流水でつくられた水菓子のことで、山梨県に店舗をかまえる「金精軒(きんせいけん)」で夏季限定販売されている。見た目はまるで大きな水滴のようで、とても繊細な製法で作られていることから、たった30分で本来の美味しさが失われてしまうという。また、国内に限らず海外メディアからも注目され、「食べてみたい」という声が相次いでいるそうだ。日本の伝統的な手法と、新しいものを生み出す姿勢が実を結んだ水信玄餅。儚く美しい新感覚スイーツを味わいに、一度足を運んでみるのはいかがだろうか。

07「デジタル・ファブリケーション」
- ■ コンピュータと接続された工作機械
- ■ 人の職を奪いかねない最新テクノロジー
3Dプリンター、レーザーカッターなど、以前では考えられなかった工具の加工・成形技術の総称が『デジタル・ファブリケーション』だ。基本的な定義としては、コンピュータと接続された機械工具の技術を指す。それぞれの専用ソフトで作成されたデータを、忠実に再現できることが可能だ。さらに、紙、木材、アクリル、樹脂など様々な素材で具現化を可能。この技術は、テクノロジーの発展の象徴と言えるかもしれない。しかし、その半面、単純な制作物の大半を機器でつくれるようになってしまうことで、人が介入する余地がなくなりつつある。これから先、人がプログラミングするだけであとは最新機器があれば成り立ってしまう産業が増えてくる可能性も否定できない。手仕事による高度な技術と伝統をもつ日本において、人の手を省いてしまうものづくりがスタンダード化してしまうことは避けたいものだ。
