01「SEALDs」
- ■ 学生を中心とした有志デモ団体
- ■ 活動内容には賛否両論も
5月14日に閣議決定となった安全保障関連法。これは、以前から議論されていた集団的自衛権を実質認める形になり、その内容は大きく波紋を呼んだ。そんな中、最近、この決定に対して反対デモを行う『SEALDs(シールズ)』に注目が集まっている。
これは、学生を中心メンバーとした有志団体のこと。元々は、特定秘密保護法に反対デモを行うSASPL(サスプル)という学生有志団体を引き継いだもので、ツイッターやLINEなどで呼びかけ、学生に限らず幅広い層による数百人規模のデモを行っていることが話題になった。積極的にSNSでデモの告知を行ったり、中心メンバーがメディアのインタビューに応えたりすることで知名度が上がる一方で、参加者の中には政治に疎い人やSNSに過激な発言を投稿する人も少なくなく、その活動に対して疑問を持つ人も多いという。SNSなどで自分たちの主義主張が容易に国内外へ発信される現代において、このデモ活動は国民にどれだけの影響を及ぼすのか、今後の動きに注目したい。

02「リコチャレ」
- ■ 理工系女性労働者を増やせるか
- ■ 見て聞いて体験するイベントを開催
他業界に比べ圧倒的に少ない理工系の女性労働者を増やすため、理工系分野の就職活動に対策のメスが入った。『リコチャレ』とは「理工チャレンジ」の略で、内閣府の男女共同参画局が取り組む女性向けの就職サポートのことである。女子高生や女子学生を対象にしたこの取り組みは、学生向けに仕事体験会や会社見学を開いたり、理工系に従事する女性のインタビュー、講演会などを行ったりしている。そうすることで学生たちに具体的な働くイメージを持ってもらい、理工系を進路として選択してもらうことが狙いだ。
男女共同参画社会基本法の制定から15年以上経ったが、未だ男女比が大きく偏っている業界も少なくない。そんな中でも理工系に興味を持つ女子学生は一定数いるそうで、学生たちの知識不足や業界への不安を払拭できれば、理工系の将来も明るいものとなるだろう。リコチャレに大きな期待がかかる。

03「おもてなし規格認証制度」
- ■ 接客の質向上へ
- ■ 認定マークで分かりやすく
昨年、日本を訪れる外国人観光客が過去最高を記録した。増え続ける外国人観光客への対応を高水準なものにしようと経済産業省が設けた、接客レベルを認証する規格制度『おもてなし規格認証制度』が来夏にも実施される予定だ。具体的には、外国語を話せるスタッフの常駐、免税手続き、クレジットカードの利用などのグローバルスタンダードなサービスを規格化・保証してアピールにつなげる。この認定マークを掲げれば日本語が分からない外国人でも分かりやすく、旅行の際の判断基準にしてもらう狙いだ。
いままでは、各業界で日本の“おもてなし”を接客で実践しようとする動きがある一方で、訪日外国人観光客からはグローバルスタンダードなサービスが足りないとの指摘があったという。この規格を期に、日本人だけでなく外国人にとっても快適なサービスを見直す必要があるかもしれない。

04「猛暑サービス」
- ■ 気温30度超えでお特なサービス
- ■ 夏場、落ち込む消費への解決策
7月の中ごろに梅雨明けが発表され、列島は本格的な暑さに襲われている。そんな中、小売店が『猛暑サービス』に相次いで乗り出した。このサービスは、気温が30度以上になった場合に商品の値段を下げたり、無料のプレゼントを配布したりするというもの。夏の暑さで消費者が外出を控えることによる、売り上げ低下を防ぐのが目的だ。
このサービスは家電量販店の他、大手百貨店でも盛んに行われている。メイク直しやネックレスの簡易クリーニングなどを行うなど、商品の値下げやプレゼントに留まらない様々なサービス展開を見せ、顧客の囲い込みを目指しているという。地球温暖化により、ますます厳しくなるばかりの夏の暑さに対し、どう適応していくのか。各社の工夫が表れている一つの例だろう。

05「バケモノの子」
- ■ この夏一番の超大作
- ■ アニメ業界の新しいトレンド
この夏、一番注目を集めている映画をご存知だろうか。なんと、公開週の土日2日間で動員49万4000人、興収6億6700万円(※興行通信社調べ)の記録を打ち立てた『バケモノの子』だ。「時をかける少女」や「サマーウォーズ」、「おおかみこどもの雨と雪」を手がけた細田守監督の最新作で、ジブリ映画に負けず劣らずの勢いを見せている。
本作は、両親の離婚や死をきっかけに“バケモノ”に弟子入りして心身共に成長をしていく少年の物語。最近のアニメの風潮に修業シーンや獣を避ける傾向があるそうなのだが、「バケモノの子」ではあえてそれを取り込んでいる。それにもかかわらず人気なのは、ファミリーで観ても過激すぎない展開や優しい描写、わかり易いストーリーがあることが理由のようだ。今まで、日本アニメの代名詞だったスタジオジブリが長編映画の休止を発表したこともあり、第二のジブリになれるのか、「バケモノの子」の人気がどこまで広がるのかに期待したい。

06「火花」
- ■ 第153回芥川賞受賞作品
- ■ 異業種×小説
純文学作家の登竜門として知られる芥川賞。その153回目の受賞作に、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹氏による芸人2人の交流とその顛末を描いた中編小説『火花』が選ばれた。今年1月発行の文芸誌「文學界」に一挙掲載されたこの作品は、当初から注目を集め、受賞後は単行本発行部数が100万部を突破。読書離れにあえぐ出版業界では、久々の明るいニュースとなっている。
もともと又吉氏は読書好きとして知られていたが、中編小説を執筆したのは今回が初めてだ。火花はその内容以上に、“現役の人気お笑い芸人による純文学作品”という点で注目を集めている。担当編集者が数年かけて小説を書くように説得したというエピソードも各メディアで報じられ、今後は各出版社で異業界の人材に小説を執筆してもらうことがブームになるのではとも言われる。純文学に新たな読者を呼び込むことが期待される又吉氏。受賞後第一作に、注目が集まることはまちがいない。

07「ノモフォビア」
- ■ 重度の携帯電話依存症
- ■ 世界中で対応が求められる
いまや世界中で展開され、多くの人々が使用している携帯電話やスマートフォン。その普及と共に、問題視されているのが『ノモフォビア』だ。
ノモフォビアとは、“No-Mobile(Phone)-Phobia(ノー・モバイル・フォビア)”の略で、直訳すると“携帯電話がないことへの恐怖症”という意味になり、重度の携帯依存症を指す言葉だ。少しの間スマホを確認できなかっただけで、不安な気持ちに陥ってしまう人もいることから、現代社会で深刻化しつつある恐怖症・依存症の一種となっている。日本だけでなくアメリカなどの先進国ではデジタル機器の依存症はかねてから問題視されており、その対策としてデジタル機器から一定期間離れる取り組みの「デジタル・デトックス」も再注目されつつある。最近ではロシアや中国などの新興国でも話題にあがっていることから、広がり続けるノモフォビアに対して各国での早急な対策が求められそうだ。
