01「LINE不在通知」
- ■ ヤマト運輸とLINEが連携
- ■ 人件費のコスト削減にも貢献
近年のネット通販の拡大で宅配便の取扱量が急増しており、宅配便の受取人不在で再配達となるケースが多く起こるようになった。これにより再配達にかかる人件費などのコストの増加が問題になっている。
2016年1月19日より、ヤマト運輸では宅急便配達時の不在連絡や再配達依頼をLINEで行えるサービス『LINE不在通知』を開始した。サービスの内容は、配達予定連絡と不在連絡、荷物の問い合わせや集荷の依頼、再配達依頼、料金・配達日検索などだ。LINEでヤマト運輸の公式アカウントを友達追加し、クロネコメンバーズアカウントと連携させるだけで、直接通知を受け取ることができる。事前にLINEで荷物の到着予定を知らせたり、受け取る側に都合のつく時間や場所の調整をしてもらったりすることで、配達の際の不在率が低減し、コスト抑制にもつながるという。LINEを活用したサービスは様々な業界に広がっているが、今後も更なる広がりを見せそうだ。

02「海外馬券」
- ■ 日本でも購入可能に
- ■ 新たな国際交流の一環として
2016年、競馬好きな人々に朗報が舞い込んだ。「競馬法」が改正され、農林水産省が指定した海外の競馬レースの馬券(勝馬投票券)に限り『海外馬券』が購入可能となる。
今までは海外競馬に関する規定がなかったため、日本の調教馬が出走していても国内で馬券を購入することができなかった。しかし、近年日本の競走馬が海外で好成績を収めていることもあり、国内での海外馬券の発売に踏み切ったという。これからは国内で海外馬券を購入できる体制に設備投資されていく予定だが、どのくらいの規模や利益になるのかは今後の動向による。また、オーストラリアや香港ではすでに日本のG1レースの馬券が発売されているが、その売り上げは芳しくないという現状もある。一部の不安要素もあるが、競馬界のさらなる国際化、そして他国との国際交流の一環として海外馬券発売の幕開けに注目したい。

03「アンダーアーマー」
- ■ 業界大手を追い上げる勢い
- ■ 日本にも進出
古株企業が業界シェアを独占する時代は終わったのかもしれない。アメリカで、創業わずか19年のスポーツ用品メーカー『アンダーアーマー』が急成長を見せているのだ。2014年のアメリカでの売上高はアディダスを抜き、業界最大手のナイキに次いで2位だったという。
急成長の理由には、ターゲットをスポーツ競技者に絞ったことが挙げられる。競技者のニーズに応えて高品質な商品を開発し、ファッション性や安さを強みとしていた大手企業との差別化に成功した。そして大手企業が注目するより前に、若手選手とスポンサー契約を結び、比較的安価な広告展開を可能にしたという。選手がアンダーアーマーの機能性をアピールすることで、ほかの競技者やファンにも品質の良さが伝わり、日本国内でも年間300億円を売り上げるトップブランドの一つになった。大手にあえて「倣わない」姿勢が急成長を生んだアンダーアーマー。中小企業躍進のヒントが、そこにありそうだ。

04「医療観光」
- ■ 治療のために渡航
- ■ 医療産業の発展にも
臓器移植や美容整形のために海外へ行くという行為は、しばしばニュースでも耳にする。このように医療目的で他国を訪れることは『医療観光』と呼ばれている。
高品質な医療を求める人々は先進国を訪れ、コストの削減を求める人々は新興国を訪れるという医療観光。さらには自国の法律で制限されている治療を求める場合もあり、流行の背景には国家間の医療制度や品質の違いがあるようだ。日本でも、外国人観光客の増加にともなって医療渡航者が増えていると推測されている。現在は中国人や韓国人を中心に、日本の高品質な医療、とりわけ人間ドックを目的とする人が多い。また、最新の医療だけでなく、日本ならではの「おもてなし」を求めて訪日する人も多いそうだ。医療観光ではアジアの中でも遅れている日本だが、顧客拡大により医療産業の発展が期待されており、今後は積極的な受け入れ体制が求められるだろう。

05「お坊さん便」
- ■ 「お坊さん」を全国に宅配
- ■ 仏教界では批判も
インターネットの普及や流通技術の進化により、いまやほとんどのものがネット上で購入できる現代。そんな中でも物議を醸しているのが通販最大手アマゾン(Amazon.com)による『お坊さん便』だ。
これは、「お坊さん」を宅配(手配)してくれるサービスのこと。通常、法事や法要を手配するにはお寺ごとに料金が違い、さらに車代やお布施などの様々な費用が多重にかかってしまう。しかし、お坊さん便では全国どこでもお坊さんを手配できるだけでなく、全ての法事・法要が一律価格という画期的なサービスとして注目されている。これを受け、仏教界からは「宗教をビジネス化している」と批判もあるが、お寺との付き合いが乏しい都心の人にとっては臨時で手配できるため好評だという。サービスが向上する一方で起こる批判にどう対応するのか、お坊さん便の今後に要注目だ。

06「ゆうゆうワイド」
- ■ 30年の放送に幕
- ■ 次なる「長寿番組」登場なるか?
長年愛されてきた番組がまた一つ、終わりを迎えることとなった。1986年からTBSラジオで放送されているラジオ番組『ゆうゆうワイド』が30年の節目となる4月8日をもって終了することが発表された。
この番組では、大沢悠里氏をパーソナリティーとして「お色気大賞」や「毒蝮三太夫のミュージックプレゼント」など多種多彩なコーナーが人気を呼び、聴取率も常に上位にランクインしてきた。しかし、高齢の大沢氏が長時間の生放送に限界を感じたことや、昨今叫ばれている若者を中心とした「ラジオ離れ」により、番組の終了が決定したという。近年では長期連載漫画「アサッテ君」や「あぶさん」の終了など、長年愛されてきた作品が続々と終了を迎えている。長寿作品の終わりを受け、次なる長寿番組は生まれるのか? 今後の業界全体の動きに注目したい。

07「蔡英文」
- ■ 台湾初の女性総統
- ■ 領土問題に注目
2016年1月16日、台湾(中華民国)の新しい総統に、民進党の主席『蔡英文(ツァイ・インウェイ、以下蔡氏)』氏が選出された。台湾初の女性総統であることもさることながら、蔡氏の総統就任が台湾外交の分岐点になるのではないかと大きな注目を集めている。今回の当選の背景には、台湾の有権者の間で高まる“台湾独立”の気運があるというのだ。中国寄りだった国民党に比べ、民進党は台湾の主権を守る立場とみなされたことが、圧倒的な勝利につながったという。
蔡氏の当選は、日本にとっても他人事ではない。これまで政権を握ってきた国民党は、南シナ海と尖閣諸島の領有権を中国とともに主張してきた。しかし蔡氏率いる民進党は、領土問題には深入りしないため、日本としては心配の種が一つ減ったことになる。とはいえ、台湾の行く末を左右するとも言われた今回の選挙。しばらくはアジアの注目が台湾に集まりそうだ。
