01「待機老人」
- ■ 特養老人ホームの供給不足
- ■ 背景には介護職の待遇の低さ
年齢を重ね、日常生活に不自由が生じてきたときに頼りになるのが、介護保険で入所することができる特別養護老人ホーム(以下特養ホーム)だ。しかし今、その特養ホームに入所したくても入居できない『待機老人』が増加している。厚生労働省の発表によると、2013年度の待機老人は52万人以上で、4年前の調査よりも約10万人も増加している。それは単に社会が高齢化したことだけが理由ではない。自治体の施設増設にも関わらず、待遇の低さから介護職の離職率が高く、施設はあっても人手が足りないことから、需要に供給が追いついていないのだ。
入居介護から在宅介護への転換も提案されているが、人手不足の根本的解決は成されていない。より多様なサービスの開発と、現場で働く人々の待遇改善が望まれる。

02「自転車特区」
- ■ お台場は自転車でまわろう!
- ■ 自転車活用で新たな交通政策を
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの競技会場となる東京・お台場を、『自転車特区』に指定しようという提案が注目されている。
自転車特区とは、自転車専用レーンやシェアサイクルシステムを運営する地域のこと。自動車の排気ガスや都市部の渋滞が問題となっていることから、政府は交通問題解消のためにも自転車利用を推進する方針だ。すでに世界各地でも自転車利用の普及活動は行われており、例えばニューヨークでは自転車通勤を増やすため、車道を削って自転車専用レーンを作るなどの政策をしている。自転車活用において世界に遅れをとった日本だが、エコの観点や渋滞緩和につながる新たな交通政策として、実施に期待が高まっている。

03「地域限定保育士」
- ■ 保育士不足解消を目指す
- ■ 都心での導入が望まれる
保育所や保育士不足で保育園や幼稚園に子どもを預けられない、そんな待機児童問題の打開策として『地域限定保育士』が導入される。
国家資格である保育士試験は、通常全国統一で年に1度行われる。だが、年に1度だけの試験では保育士の供給が制限されてしまうことから、全国統一試験とは別日程で各都道府県が独自に保育士試験を行い、合格者は3年間特区内で勤務すれば全国で働けるという地域限定保育士制度を開始。しかし、各地域で試験を行う場合、独自の試験内容と財源確保が必要なため、最も保育士不足を唱える東京都は導入に慎重な姿勢。実際に先行的に導入している地域もあり、他の特区での普及も検討するようだ。長らく問題になっている保育士不足解決策の一環として、普及することが望まれている。

04「登山届」
- ■ 噴火をきっかけに急増
- ■ 義務化の動きも
「山ガール」や「トレイルラン」などの流行により、一昔前に比べ、登山がカジュアルなスポーツになりつつある昨今。その一方で、自然の脅威に対する危機管理能力の低下が問題視されているという。
そこで、万が一の時に身元判明の切り札となる『登山届』を利用する人が急増している。登山届とは、登山者がこれから登る山の登山計画、持っていく装備、連絡先等を記して所轄警察署に提出する書類のこと。届出が急増した理由として、9月に長野・岐阜県の御嶽山で発生した噴火災害で、行方不明者の把握が難航したことが挙げられる。このことを受け、全国の噴火山を持つ県は登山届の提出の義務化を検討中とのこと。この対応により、万一の時の管理強化と並行して、登山客の危機管理意識の向上にも期待したい。

05「キラキラ社名」
- ■ キラキラネームのような社名
- ■ 奇抜な名前でとにかく目立つ
数年前から、希星(きらら)、泡姫(ありえる)のような自分のこどもに、突飛で煌びやかな名前や当て字を付ける『キラキラネーム』が話題になっている。しかし、最近ではそれが人の名前だけにとどまらなくなっている。それが『キラキラ社名』だ。
これは、キラキラネームのように当て字などを用いたインパクトある社名を指す。理由は単純で、インパクトのある社名を付けて他社と差別化を図ったり、生活者に覚えてもらうことだという。2006年の新会社法施行によって資本金1円で手軽に起業できるようになり、若いベンチャー企業が増えたため、2000年代から徐々に増加傾向にあるという。こうした名前の普及がこの先の日本社会にどのような影響をもたらすのか、静観していきたい。

06「la kagu」
- ■ 神楽坂に新たなスポット誕生
- ■ キーワードは衣食住+「知」
10月10日、神楽坂に新たな商業施設が誕生した。衣食住+「知」をテーマに、食、ファッション、インテリア、書籍などを取り扱う『la kagu(ラカグ)』だ。神楽坂周辺に住むフランス人たちは、神楽坂を「ラカグ」と呼ぶというエピソードから名称が採用された。自然をテーマとした建築で知られる隈研吾設計の施設は、既存の倉庫をあえて活かした工業的な空間の中にも木材の温かみが感じられる。
また、単なるショッピング施設にとどまらず、出版社が多い土地柄を活かして、書籍や作家とのコラボレーション企画も開催することで、他の商業施設とは大きな差を付けている。衣食住=生活に必要なもの+「知」=好奇心を満たすものが体験ができるla kagu。近くを通った際には、立ち寄ってみてはいかがだろうか。

07「中央値」
- ■ 平均値ではない“普通”の割り出し方
- ■ データの大きい順の真ん中
「平均年収」、「平均寿命」など統計を取る上で必ずと言ってよいほど耳にする「平均値」。しかし、近年その算出方法に疑問の声がささやかれている。そこで注目されているのが『中央値』だ。
これは対象データの大きい方から順に並べた時の、ちょうど半分の値のこと。データの合計を個数で割って得られる平均値に比べ、“普通”を知るのに適しているという。この算出方法が注目されている理由は、所得格差が生まれたことにより、全体の数パーセントしかいない高所得者が平均年収を引き上げてしまっているということ。つまり、平均値ではしっかりとした“平均的な年収”などが計れなくなっている。今後、中央値の定着により、生活者を取り囲む実状が明らかになるかもしれない。
