01「代替卵」
- ■ 植物性原料を使い、卵を再現したもの
- ■ エシカル消費拡大の波に乗る
日本において「物価の優等生」とも言われていた鶏卵が、高病原性鳥インフルエンザの拡大による供給不足や、飼料価格の高騰により、価格上昇が続いている。そこで注目されているのが、『代替卵』と呼ばれる商品だ。
「代替卵」は、豆乳などの植物性原料を使い、卵の風味や食感などを再現したもの。本来、食物アレルギーやビーガン志向の人たち向けに作られてきたが、卵の価格高騰はもちろん、エシカル消費が広がったことも認知拡大の要因だという。そんな中、大手食品メーカーのキユーピーが、卵などの動物性原材料を使わない植物由来の食品事業を強化すると発表し、大きな話題を呼んでいる。このように環境にも優しく、企業の価値も向上していくエシカル消費の動きは、今後さらに経済循環を牽引していくことだろう。
【参考URL】
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/20230310/581/

02「現代短歌」
- ■ SNSなどを中心に短歌がブーム
- ■ 短い文章に慣れたZ世代と、親和性が高い
日本では古くから親しまれてきた短歌だが、SNS全盛期の現代においても、Z世代を中心にブームを巻き起こしている。「けり」や「かな」、旧仮名遣いを使わず、現代の言葉と感性で訴えかける短歌が『現代短歌』。三十一文字の形式は、短い文章に慣れたZ世代と親和性が高く、いわゆるエモい表現が気軽にできることから、人気を呼んでいるようだ。Twitterでは一日一題で歌を詠む「まいにち歌会 うたの日」、Instagramでは写真とともに詠む「#短歌フォト」などがバズっており、現代ならではの楽しみ方が生まれている。また、短歌における共感は、「自分も皆も同じ気持ちだ」というフラットな感情が特徴であり、多様性を求められているZ世代にとって、その温度感が心地よいのだろう。このように時代を超え、日本の伝統文化を根強く引き継いでいってほしいものだ。
【参考URL】
https://ohtabookstand.com/2022/09/qj158-tanka/

03「マッシュルームレザー」
- ■ きのこの菌を原料とするヴィーガンレザー
- ■ エルメスやステラ・マッカートニーも採用
地球環境を保護するべく、サステナブルな取り組みを行う企業が年々増加している。そんな中、環境に優しい生地素材として話題を呼んでいるのが『マッシュルームレザー』だ。
「マッシュルームレザー」は、きのこの菌によって構成される根のような糸状の組織「菌糸体」を原料に作られる、ヴィーガンレザーのこと。合成皮革に比べて、柔らかで温かみのある手触りなのも魅力で、摩擦などにも耐えうる高い耐久性もあるのだという。最近ではエルメスなどの有名企業も「マッシュルームレザー」を採用し始めており、日本でも製品開発を行う土屋鞄製造所がボルトスレッズ社と業務提携したことでも注目を集めている。こうした需要の高まりを受け、近い未来に大規模開発されていくであろう新素材の動向を、今後も注視していきたい。
【参考URL】
https://ouispeakfashion.com/jp/the-future-of-mushroom-leather/

04「アンコンシャス・バイアス」
- ■ 無意識の偏見や思い込みのこと
- ■ 認知拡大のため、東京都でも積極的に事業展開
SDGsの目標のひとつ「ジェンダー平等」は、雇用条件や街中など至る所で取り組みが推進されている。そこで注目されているのが、過去の経験や学びなどをもとに、無意識に認知や判断を行う『アンコンシャス・バイアス』という言葉だ。アンコンシャス・バイアスは、「普通は〇〇だ」など、職場や日常において当たり前に起こり得るもの。しかし、その思い込みにより周囲に悪影響を与える可能性もあり、ハラスメントや人間関係の悪化などに繋がってくるというのだ。そのため、対処法を身につける研修を行う企業も増加しつつあるという。また、東京都でも「無意識の思い込み」に関するエピソードを募集するなど、認知を広めるべく、積極的な事業展開を行なっている。今まさに、昔ながらの価値観を修正していく時代が訪れているのかもしれない。
【参考URL】
https://media.lifull.com/crossviews/2023022757/

05「鉄道駅バリアフリー料金制度」
- ■ 利用者全員で目指す施設のバリアフリー化
- ■ 他の事業体が目標とする先行事例となれるか
3月18日から首都圏のJRや私鉄で運賃引き上げが実施された。この値上げは転倒防止のホームドアやエレベータの設置など駅施設のバリアフリー化を進めるため、その費用を鉄道利用者で広く負担するための『鉄道駅バリアフリー料金制度』によるものだ。実施する路線では普通運賃に一律10円が上乗せされ、それに合わせて定期券(通学定期を除く)の運賃も引き上げられる。
制度を利用する鉄道事業者は国への届け出で上乗せ分の運賃をどのように活用するかを定め、年度ごとにその進捗を公表することが義務付けられる。例えば小田急電鉄はこの制度の利用により、従来の2倍近いペースでホームドアの設置を進めることができる想定だ。公共交通機関として、身体的な特徴を問わず誰もが利用しやすい施設としての発展が期待される。
【参考URL】
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230317/1000090723.html

06「ペッパーミルパフォーマンス」
- ■ 両手をグリグリする日本代表選手たち
- ■ 大会を象徴するアイコンへ
3月8日に開幕し、決勝アメリカとの1点差の激闘を制し、見事14年ぶりの日本世界一で幕を閉じたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。そんな大活躍の日本代表の中でも、大会MVPの大谷翔平と並んでひときわ注目を集めたのが、メジャーリーガーのヌートバーと彼が行う両手でペッパーミルを挽く『ペッパーミルパフォーマンス』だ。他国籍の日系選手として初の代表入りを果たしたヌートバー。彼をチームに迎い入れかつ団結力を高めるために、選手の間でこのパフォーマンスが取り入れられた。そもそものパフォーマンスの意味としては、コツコツ積み重ねること、身を粉にしてプレーすることがあるという。それによりチームは団結力を高め快進撃、そして国民にも爆発的に認知を広めた、まさに日本にとって素晴らしい大会を象徴するムーブメントとなった。
【参考URL】
https://riri-otokujoho.com/peppermillperformance-why-meaning/

07「VR筋トレ」
- ■ 脳を騙して効果アップ
- ■ 筋力が衰えた高齢者で成果
高齢者にとって転ぶことは骨折などの怪我に繋がり、その結果寝たきりなどで介護が必要になる可能性もある重大なリスクだ。老化と共に落ちる筋力を維持することが転倒予防に重要とされるなか注目されているのが、実際に行っているトレーニングより高い負荷がかかっていると脳に思い込ませることで、筋トレの効果を上げる『VR筋トレ』だ。松山市にある「富永ペインクリニック」では、医師やIT企業と協力しVRトレーニングを開発。実際は1kgのダンベルを持ってスクワットをしているが、頭につけたVRゴーグルから見えているのは5kgのダンベル。これにより脳に重いものを持っていると認識させ、トレーニング効果を高めることができるという。週に1回10分程度の運動で、全身の筋力の指標となる握力の向上が見込めるなど、今後は高齢者の身体機能維持の有効な手法として広がっていきそうだ。
【参考URL】
https://www3.nhk.or.jp/news/contents/ohabiz/articles/2023_0320.html
