01「フードバンク」
- ■ 困っている人々と支援者をつなぐ
- ■ “もったいない”の観点からも注目
まだ食べられる多くの食料は、さまざまな理由で市場性を失って処分されてしまう。また、この食料を捨てるためには“廃棄コスト”が発生してしまうという。このように、食べ物が余る一方で、食べ物に困っている人々も存在するのが現状だ。そんな状況を打破しようとしている活動が『フードバンク』だ。
フードバンクとは、食べられるのに捨てられてしまう食品を企業や個人から引き取り、食料支援を必要とする人々へ再分配する試みのこと。
ただし、賞味期限切れといった品質に問題のある食品は除かれる。提供する企業は廃棄コストと食品廃棄を抑えられる上、福祉活動の参加にもつながることになるようだ。アメリカで始まったこの試みは、日本でも近年、活動する団体が増えつつある。フードバンクが発展することで、食料をただ配布するだけでなく、必要なところへ必要な数だけ届けることができる社会になるかもしれない。

02「CLEAR’S」
- ■ お掃除アイドルユニット
- ■ FC形式で全国に広がり
「会いに行けるアイドル」が広まって久しい。しかし今、握手でもサイン会でもなく「掃除」でファンや街との交流を図るアイドル『CLEAR’S』が密かに注目されているのだ。
主な活動は「街はみんなのゴミ箱じゃない!!」をキャッチコピーに、お掃除ボランティアと歌・ダンスで街を明るくしていくというもの。掃除にはファンも参加し、アイドルと会話しながら街を清掃する。地域の人たちも清掃に参加するため、清掃と交流・広報を兼ねた活動ができるのだ。応募によるフランチャイズ形式で地域ごとに結成することができるため、街おこしの一貫としても注目されている。すでに東京・名古屋・川越・熊本に拠点を持ち、地域の街おこしの役目を担う彼女たち。これからの広がりに期待だ。

03「ランニングポリス」
- ■ 安全に走れる環境づくり
- ■ テロ事件の余波
世界を震撼させているテロ事件の数々。その影響を受け、警視庁が今年開催の東京マラソンに『ランニングポリス』を配置すると発表した。彼らは、一般ランナーと併走するテロ防止を目的とした警察官だ。
実際は、フルマラソンを走るのではなく、10キロごとに交代しながら警備を行うという。また、有事の際、本部に異常事態を知らせるための小型カメラや、携帯電話、特殊警棒や警笛、催涙スプレーなどを装備している。世界的に、テロ事件でナーバスになっている昨今。新たなポリスによって、一大イベントが無事に開催・運営されることを願うばかりだ。

04「再生羽毛」
- ■ 衣料品で初の試み
- ■ 羽毛をリサイクル
衣料品にもエコブームの波が押し寄せてきた。株式会社三陽商会が昨年10月より、『再生羽毛』を使用したジャケットを発売し、話題となっている。これは廃棄された羽毛製品から羽毛を取り出し、特殊な洗浄回復技術を用いてリサイクルしたもの。
洗浄回復した中でも状態の良いもののみを使用しているため、品質に問題はないそうだ。また、動物保護の観点から、近年では毛皮や羽毛に対しての風当たりが強くなっているため、こうした衣料品にフェイクフェザーなどの人工物が多く使われる傾向がある。そうした問題を解決しつつ、良質且つ本物の素材でできた衣料品を身につけることができるため、これからの需要増加が見込まれるだろう。

05「ヘルプマーク」
- ■ 見えない部分の配慮を可視化
- ■ 福祉先進都市を目指す
人工関節や内部障害、また妊娠初期段階といった人は、外見からその様子を認識することが難しい。そこで、要配慮を必要としている人々のために『ヘルプマーク』の活用が進んでいる。
ヘルプマークとは、周囲に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるように作成されたマークのこと。2020年の東京五輪開催に向けた、「東京都長期化ビジョン」の中にある、配慮を必要とする人が住みやすくなる都市づくりの一環として普及が広まっている。特に各交通機関では、ヘルプマークの配布や優先席へのステッカー標示を積極的に働きかけている。誰もが安心して住みやすくなる都市を目指し、思いやりのある行動を促進するためにも、普及が望まれている。

06「一人文具メーカー」
- ■ 全部一人でつくります!
- ■ 誰でも“メーカー”になれる時代に
技術の進化と共に、手軽に自らものづくりができる環境が整ってきた。そんな中、たった一人で文具の構想からデザイン、営業まで行う『一人文具メーカー』なるものが注目されている。
一人文具メーカーが販売する商品は、書きやすさを追求した形状のノートや、どんな文庫サイズにも対応可能なブックカバーなど、細部までこだわり抜いたものばかり。通信販売を基本としているが、小売店での委託販売などを行っているところもあり、どれも品薄状態になるほどの人気だという。この背景にあるのは、3Dプリンターなどの個人向けものづくり技術の発達と、インターネットによる販路の確保。これにより、アイデアと行動力さえあれば、誰でも“メーカー”になることが可能となったのだ。生活者の「これが欲しい」を生活者自身が実現できるようになった現代、ものづくりビジネスは今後ますます活性化しそうだ。

07「ロビイング」
- ■ “根回し”が日本には足りない?
- ■ 日本の海外進出の鍵
2020年の東京五輪決定に関しては、印象的なプレゼンの他に『ロビイング』が大きく影響したと言われる。これは、特定の主張をする個人や団体が、政府などの公的機関を動かすために私的に働きかけること。
企業ならば、自分の新製品が流通しやすいよう、法整備を整えてもらうことなどがこれにあたる。日本では、政治的な癒着をイメージさせることもあり、あまりロビイングが取り沙汰されたことはなかった。しかし、海外ではすでに定着した概念であり、企業が海外進出する際に、ロビイングを行うことは当たり前になりつつあるのだとか。日本の企業が世界で通用しない理由の一つとして挙げられることもあるロビイング。日本での今後の広がりに注目したい。
