01「アップサイクル」
- ■ 廃棄物の新たな再利用法
- ■ おしゃれで実用的な商品へ
学校の教育で取り上げられ、ゴミの分別でも意識することが多いリサイクル。その進化系とも言える『アップサイクル』という考え方が、デザインやアパレル業界で話題になっている。これは処分されるはずだった廃棄物の特徴を活かし、より価値の高い製品へ生まれ変わらせることを指す。例えば、古着を「布」として雑巾にするのではなく、古着の柄や素材を活かしたアクセサリーに加工することで価値を高める、といった具合だ。デザインや機能面を重視した商品に生まれ変わり、需要も高いという。
これが注目される背景には、企業から出されるゴミの中に、未使用品やきれいな状態の素材が大量に廃棄されていることが挙げられる。アップサイクルは、その問題解決の手段の一つとされているのだ。あらゆるものが再利用され、よりゴミが少なくなる未来へ、大きな一歩を踏み出したようである。

02「フルサービス型喫茶店」
- ■ 昭和の喫茶店ブーム再来?
- ■ 優雅な時間を楽しむ
レジで注文を行い、自分で料理やコーヒーを運ぶセルフサービス型カフェ。このようなスタイルは若者に人気のチェーン店に多いが、最近では昭和に主流だった、店員が注文を取りに来る喫茶店『フルサービス型喫茶店』が店舗数を伸ばしているという。こうした喫茶店は落ち着いた店内や長居しやすい雰囲気が特徴で、昭和の喫茶店に慣れ親しんだ団塊世代がメインターゲットだ。退職した団塊世代は時間に余裕があるため、その住宅地の近くに出店して、ゆったりと過ごしてもらう狙いがある。
近年では様々な企業がフルサービス型喫茶店に参入し、喫茶店業界は大きな盛り上がりを見せている。各チェーンは他店との差別化を図るため、それぞれの特徴を生み出したりサービスを向上させたりして顧客獲得に励んでいるようだ。顧客の生活スタイルに合わせたサービス展開は、喫茶店に限らずどの業界でも求められるものではないだろうか。

03「高額SNS」
- ■ 月額の高額会費SNS
- ■ 双方向で対話可能
テレビの中で活躍しているようなその道のトッププロが、気軽にそのノウハウを教えてくれたら…。という一般の生活者の願望を叶えた『高額SNS』が注目を集めている。
これは、数千円~十数万円ほどの高額会費を支払い、その道のプロが双方向的に情報発信をしてくれるサービスのこと。最近では、現役の一流プロスポーツ選手が、自らのノウハウを発信するサービスを開始するとして話題を呼んでいる。通常、月額で配信されるメールマガジンやSNSの相場は数百円だったのだが、無料で閲覧できるブログなどとの価値の差別化を図る意味でも、効果的な試みのようだ。また、たとえ高額だとしても頂点を極めた人には根強い愛好家もおり、その内の1%が加入するだけでも月額で億を超える収入を手に入れることができるそうだ。SNSが定着しつつある現代では、消費者のニーズや、ビジネスにも大きな変化があるといえるだろう。

04「ESD先進地」
- ■ 「持続可能な開発」を教育現場で
- ■ 災害から地域を守る手立てとしても
3.11後の復興を支えたものの一つに、地域の中学生・高校生の力がある。それを育んだのが、防災・地域産業学習・伝統文化・自然観察などからなる体験型学習である「持続可能な開発のための教育=Education for Sustainable Development(以下ESD)」だ。このESDが根付き、成果を見せ始めた地域は『ESD先進地』と呼ばれ、地域教育のモデルケースとして注目を集めている。
代表的なESD先進地である宮城県気仙沼市では、総合的な学習が始まった直後から中学校で防災や地域産業に関する学びを深めていた。教室内の学習に限らず、実際に体験するために地域の働き手やお年寄りとも交流を持ったことで、地域の結びつきが強まったという。そして結果的に、3.11後の混乱の中でも中学生が炊き出しや避難所の設営を手伝うなど、災害時への強さを証明したのだ。こうしたESD先進地には、全国から視察団が訪れている。地域を守るための教育の広がりに、大いに期待したい。

05「パブリックコメント」
- ■ 広く公に意見や情報を求める
- ■ 民衆の声を反映させてよりよい行政を
公的な機関が規則を設けようとする際、公衆に意見を聞き、それを考慮した上で最終決定を行う『パブリックコメント』をご存知だろうか。
このパブリックコメントの目的は、国民の意見を行政に反映させ、さまざまな意見と情報を集めることだ。日本では、意見公募の手続きそのものを指す場合が多い。最近では、国内の温室効果ガス排出量減を目指す目標案について、政府はパブリックコメントを行う方針を提示した。この背景には、国民の協力なくして目標達成には近づけないからこそ、広く意見を集めて正式決定することを判断したということが伺える。あまり民間に認知されていない、パブリックコメント。今後の行政では、こういった国民の声を反映させる場を、さらに活性化させていく必要があるのかもしれない。

06「ラップ口座」
- ■ 新たな投資の形に注目
- ■ お任せ投資で初心者向け
100万円まで非課税で投資ができるNISA。昨年鳴り物入りで始まったこの制度が、期待されたほどの投資者を呼び込めていないのに対し、にわかに注目度が高まっている投資制度がある。投資業者が個人と契約して、資産運用から売買手続き、投資アドバイスまでを包括的に行ってくれる投資形態『ラップ口座』だ。昨年比約300%近くまで投資額を伸ばしているという。もともとラップ口座は、申し込み最低金額が1,000万円~という高額投資だった。ところが、数年前から「ファンドラップ」という投資信託のみのサービスが普及。最低金額が300万円ほどに引き下げられ、初心者にもハードルがぐっと下がったのだ。
各金融機関、証券会社で取り扱っているラップ口座だが、この人気には超インフレへの不安・物価上昇への備えといった背景が存在している。一般の家庭でも「備えとしての投資」を始める日は遠くないのかもしれない。

07「Eight」
- ■ 名刺のデータ化が人気
- ■ 精度の高いデータに登録者殺到
ビジネスパーソンが人間関係を築く上で欠かせない名刺交換。しかし、どんどん名刺が溜まり、管理にも一苦労…なんて経験はないだろうか。そんな人にオススメなのが無料名刺管理アプリ『Eight(エイト)』だ。
これは、紙媒体の名刺をデータ化し、保存できるアプリのこと。スキャンした名刺画像を元にアプリの運営スタッフが“人力”でデータ化するため、従来の名刺アプリの自動画像認識によるデータ化よりもデータの精度が高いのが最大の特徴だ。データ化には少々時間がかかるが、有料オプションを使うことでその時間を短縮することができるという。データ精度の高い上に基本料が無料とあり、サービス開始後3日間で1万人がユーザー登録し、有料オプションの利用者も増えているという。全てを自動システムに任せるのではなく、アナログの工程を巧く活かすことで相乗効果を得たビジネスモデルといえるだろう。
