01「ステルス」
- ■ サーバーを“見えない化”する!?
- ■ 増加するサイバー攻撃の被害食い止めなるか
近年、IT技術の普及と共に増加しているサイバー攻撃の被害。今までは様々な方法で阻止しようとしても、網目をくぐるように不正アクセスしてくるクラッカーのサイバー攻撃に、打開策を見出せずにいた。そんな中、最近アメリカで開発された、サーバーを“見えない化”する対サイバー攻撃用ソフト『ステルス』に注目が集まっている。
通常インターネットには定められた通信手順があり、それを元にサーバーへアクセスするが、ステルスは暗号化技術によって、許可された利用者以外からはサーバーを“探知不能”にすることができる。これにより、たとえパソコンがウイルスに感染したとしても、外部からは見つけられず、不正なアクセスを阻止できるという。アメリカではすでに政府機関や医療機関などで使われており、日本でもステルスの販売に期待が高まっているという。相次ぐサイバー攻撃の被害を食い止める役になりえるのだろうか。

02「かとく」
- ■ 今年4月に新設された組織
- ■ 過重労働問題を調べる労働Gメン?
近年政府が活発に対策に乗り出しているのが、労働者の健康管理や職場環境の改善にまつわるさまざまな取り組みだ。そんな中、今年4月に東京労働局に通称『かとく』と呼ばれる「過重労働撲滅特別対策班」が新設された。
昨年厚労省が行った「過重労働撲滅キャンペーン」の調査では、過半数の事業所で違法な時間外労働が発覚した。これを受け、企業の過重労働を調べ、監督指導や捜査体制の強化策の一環として設置されたようだ。かとくが請け負うのは、犯罪の立証に高度な捜査技術が必要なケースが多く、所属しているメンバーは監督官歴10年以上のベテランばかり。長時間労働の問題対応に強いことから、パソコンのデータから不正を見抜いたり、削除されたデータを復元したりする証拠収集技術である「デジタル・フォレンジック」にも詳しいという。今後の日本社会の労働環境は、こういった組織の誕生により変化を迎えるのか。期待が集まっている。

03「ふるさと投資」
- ■ ふるさと向けクラウドファンディング
- ■ 応援する企業へ直接投資
インターネット上で企画を発表し、それに対する投資を募るクラウドファンディング。その中に、新しい形が現れた。地方の中小企業の資金調達を支援するためのクラウドファンディング『ふるさと投資』だ。以前話題になったふるさと納税は、自治体への納税=寄付という形で地方を応援するものだったが、ふるさと投資の場合は直接企業に投資することができる。具体的には地方の中小企業と地元金融企業、自治体とが協力しあってネット上で各企業の事業をアピールし、全国から融資を募るというものだ。すでに兵庫県の「キラリひょうごプロジェクト」では、公募で選ばれた9社のうち4社が募集額に到達したという。政府も本腰を入れてふるさと投資の普及に取り組むべく、5月中旬にガイドラインを制定した。地域経済を支える中小企業の新たな資金調達資源として、定着なるか。今後に期待だ。

04「ゆう活」
- ■ 朝は早く出社、夕方は早く退勤
- ■ 民間企業での浸透なるか?
クールビズや朝活など、日照時間の長い夏だからこその活動が話題になる昨今。そんな中、厚生労働省が夏の間は朝早くから仕事を始め、夕方頃には終え、それからの時間はオフを楽しむ働き方を「ゆう活」として推奨し、話題になっている。その目的として、表向きは長時間労働の抑制や、ワークライフバランスの実現とされているが、本当のところは夕方からの消費の活性化ともいわれている。実際大手デパートなどでは、夕方から商品を値引きするなど、ゆう活の対象者に向けたキャンペーンをすでに始めているようだ。
一方で、就業規則が公務員とは異なる民間企業の間では冷ややかな見解が多く、完全に浸透するかはまだ不明。やみくもに消費活動を促すだけの策を打ち出す行為も、本当に経済がよくなるとは限らず、見通しはまだまだ立たない状況のようだ。

05「遺言控除」
- ■ 税金のかからない遺産が増える?
- ■ 遺言を普及させてトラブル回避
高齢化社会が進む日本では、若い世代へのスムーズな相続が問題視されている。近年、遺産相続を行う際に“遺言書”を遺さず他界する人がおり、その影響で相続が上手くいかないケースが多い。そうした相続問題を打破するべく、政府・与党は『遺言控除』の新設に尽力している。
これは、遺産総額から基礎控除額(今年1月から3,000万円+法定相続人1人当たり600万円)を差し引いた上で税率をかけて算出される相続税控除のこと。遺言控除に該当するためには、明確で有効な遺言の存在が必要となる。従来、多くの家庭では、法定相続に任せた相続が多く、トラブルの種となっていた。そのため、あえて遺言による相続を普及させることで、スムーズな世代交代を円滑に行えるようにするのが狙いだ。まだまだ法案が出されたばかりだが、早ければ平成29年度の税制改正に併せて施行されるので、しばらく様子を見てみよう。

06「オフライン就活」
- ■ 対面を重視した就職活動
- ■ お互いに理解を深める目的も
情報サイトが発達し就職活動が便利になった一方、情報が膨大すぎるために求職者へ求人が届かない問題が生まれている。中小企業は多くの求職者を求めて大手就職サイトに求人掲載をするが、費用が高く運用が厳しいという。
これを受け、求職者と直接会ってコミュニケーションをとる『オフライン就活』が注目されている。採用側が学校や就職施設に複数回赴き、積極的に求職者へ働きかけるというものだ。何度も会うことで自社の魅力を十分にアピールし、選考に進んでもらう可能性を高めるのだという。インターネットでの就活は大手企業に有利だったため、これからは中小企業の採用活動がオフライン就活に変わっていく可能性もありそうだ。本年度は法律改正により大学生の就活期間が短くなったこともあり、中小企業への求職自体が減ってしまうのではと危惧されている中、どちらの求人方法が自社に合っているのか、見極める必要がありそうだ。

07「世界の魅力的な都市」
- ■ 読者投票で決定したNo.1
- ■ 2位以下に大きく差をつけた評価
昨年は日本への外国人観光客数が史上最多を記録し、本年はそれを上回る勢いだという。特に人気の京都市は、昨年に続きアメリカの大手旅行雑誌「TRAVEL+LEISURE」の読者が選ぶ観光地ランキングにて『世界の魅力的な都市』1位に選ばれた。1位の理由としては、長い歴史や伝統文化、市内に数多く遺る寺社が評価された。また、京都市の見解は、伝統的な景観を守るためのまちづくり、公衆無線LANの設置なども進めていたためだとしている。
東京オリンピックに向けてインバウンド需要が見込まれ、外国人観光客の受け入れ体制が重要な課題となっている中、京都市の取り組みは重要な先例となるだろう。実際に京都以外の日本の観光地を訪れた外国人観光客からは、公衆無線LANや電線などの景観、観光地での多言語などの問題が指摘されている。京都市に続く観光を生み出すためには、外国人観光客の受け入れ体制を整えることが鍵となりそうだ。
