01「ピンホールコンタクトレンズ」
- ■ 度数を持たないコンタクトレンズ
- ■ ピンホールの原理を用いた世界初の試み
アベノミクスの成長戦略の一つとして掲げられている医療分野。この分野において、実用化が注目されている日本発の医療機器が『ピンホールコンタクトレンズ』だ。
コンタクトレンズは、度数の入ったレンズを眼に直接装着することで視力矯正を行うお馴染みの医療機器。しかし、ピンホールコンタクトレンズはピンホールの原理を用いた度数が入ってないコンタクトレンズなのだ。視力の悪い人が、小さな穴をのぞくとよく見えるようになる現象を利用して考案されたという。コンタクトレンズの市場は欧米だけで7割を占めていることもあり、日本国内だけではなく世界展開も視野にいれて開発が続けられている。震災の際、被災地では度数の合ったコンタクトレンズやメガネが不足していたが、ピンホールコンタクトレンズによってこうした問題が解決できるかもしれない。現在はまだ臨床段階だが、2017年度の商品化に向けて期待が高まっている。

02「塚田農場」
- ■ 「生産からテーブルまで」を実践
- ■ 異色の居酒屋として人気を集める
人口減少や所得の伸び悩みなどで市場縮小の一途をたどっている外食産業。特に居酒屋は、低価格で集客をのぞむビジネスモデルが通用しなくなりつつある。そんな中、「Farm To Table(生産からテーブルまで)」を実践している居酒屋『塚田農場』が勢いを増しているそうだ。
ここでは連携農家だけでなく、自社でも地鶏農家を持ち、さらに加工場と処理場まで保有している。素材の生産を直接手がけることは、リスクやコスト負担が増す恐れもある一方、消費者が敏感になっている食の安全性・信頼性・クオリティが保障されるメリットも大きい。このような「食への徹底したこだわり」が強力なブランドを成長させ、他の居酒屋との差別化や成功につながったようだ。飲食業界の新たなブランディングの一環として、今後の動向にも注目が集まっている。

03「はこぽす」
- ■ 郵便局に設置された宅配ロッカーサービス
- ■ 好きな時間に荷物を受け取れる
便利な時間指定サービスが展開されているものの、自宅に届くように指定した荷物がなかなか受け取れない…。そんな経験がある人も多いだろう。そこで日本郵便では『はこぽす』というサービスを開始している。
はこぽすとは、楽天市場で購入した商品を、都内の郵便局に設置されている専用のロッカーから受け取ることができるサービスのこと。仕事などでなかなか受け取れる時間が読めない人が都合のいい時間に引き取りにいけること、そして宅配側としても、何度も再配達をする手間が省けることで話題となった。今後は設置場所を駅やコンビニなどにも広げ、通販サービス以外でも利用できるようになる予定。また、ヤマト運輸も宅配ロッカーを設置していくことを表明していることから、業界でもサービスの設備が急速に進んでいるようだ。新たなサービスの今後の展開に、注目が集まっている。

04「ペットを売らないペットショップ」
- ■ ペットの“販売”から“里親探し”へ
- ■ 殺処分問題解決への光明となるか
日本のペット文化が定着した現代、インターネットやSNS上には愛らしい猫や犬といったペットの写真が投稿されている。しかし、飼い主に愛情を注がれて育つペットがいる一方で、年間10万頭以上の犬や猫が殺処分されている現状がある。そんな中、ペットの“販売”から“譲渡先探し”へと切り替えたペットショップ「chou chou(シュシュ)」が、『ペットを売らないペットショップ』として話題を呼んでいる。
「シュシュ」はNPO法人の協力を得ながら、動物愛護センターや保健所などに保護され殺処分を待つだけの犬を引き取り、新たな里親を探している。フードやグッズの販売で売り上げを立て、この一連の行為を無償で行う「シュシュ」の試みは全国的にも非常に珍しく、注目を集めているという。ペットの販売について、批判的な声も上がっている中でこのような活動が収入面でも問題なく可能であれば、新たなビジネスモデルとしてペット業界を変えていくのかもしれない。

05「バレットパーキング」
- ■ 駐車場探しをストレスレス
- ■ 日本に定着するか
ホテルやレストランの前に車を止め、そのまま鍵を預けて本人は華麗に入場…なんてシーンを見たことがある人もいるだろう。これは『バレットパーキング』といい、専門のスタッフがお客様の車の鍵を預かり、駐車場への駐車や出車を代行するサービスのことだ。駐車場を探したり駐車したりする手間が省けてストレスレスになるため、海外では取り入れている商業施設も多い。
そんな中、日本では若者の車離れの深刻化に歯止めをかけるため、東京・銀座でバレットパーキングのサービスが開始され、注目を集めている。ここでは、銀座の一部の区画にて利用者が指定する場所で車を預かり、自社が運営する駐車場で保管、受け渡しも指定の場所まで配車するといったサービスを行っている。中高年の富裕層だけでなく、幅広い客層をターゲットとしているそうだ。日本文化にはまだまだなじみが少ないバレットパーキング。日本の車社会を再度盛り上げる役となるのか、注目したい。

06「町営塾」
- ■ 公立の塾?
- ■ 過疎化の原因を断つ試み
地方の過疎化、都市部の人口集中の一因には、地方では教育の場が少ないことが挙げられるという。いわゆる「学校」の数もさることながら、人口が少ない地域では収益率の問題から学習塾が参入してこない。そのため、学校以外のプラスアルファの学習がしづらいことが、幼い子どものいる世帯が地方で減少している理由になっているというのだ。
そこで、いま全国各地で地元自治体が運営する学習塾『町営塾』が設立されつつある。高校の放課後を利用したり、公民館を利用したりと形態は様々だが、自治体がある程度の補助金を出して「塾」の形を整え、地元の子供たちの学びをサポートしている。今のところ、それぞれの町営塾はまだ始まったばかりで、結果が数字になって現れているわけではない。しかし、教育の機会を増やす意味でも、地方活性化の意味でも、今後さらに注目される試みであることは間違いなさそうだ。

07「サブカルローン」
- ■ スルガ銀行の“趣味目的ローン”
- ■ 趣味のために借金?
漫画やアニメといった日本のサブカル文化の経済効果に注目が集まる中、新たに売り出された『サブカルローン(正式商品名:リザーブドプラン)』が話題となっている。
これは、鉄道ファンから注目された「鉄道模型ローン」などユニークな戦略を度々打ち出しているスルガ銀行が出した、家や車などのためではなく趣味目的でも融資を受けられるローンの最新版だ。その名の通り、融資されたお金の使い道が同人誌やフィギュアの購入目的であるとしてもかまわないとして、いわゆる“オタク”な人々を主な顧客対象としているのだが、ネット上では借金をしてまで趣味にお金を費やすことへの疑問の声もあがっている。サブカル文化がもたらす経済への影響が大きくなる一方であっても、我々はお金の使い方について一貫として、しっかりとした考えを持つべきだろう。
