01「フード・レスキュー」
- ■ 捨てる食品を減らす
- ■ 企業だけでなく消費者も
世界で生産される食料のうち、およそ3分の1が廃棄されていることをご存知だろうか。こういった問題は“フードロス”と呼ばれ、公共・民間を問わず様々な団体が対策に取り組んでいる。その中の1つが賞味期限や消費期限がせまった食品に貼られる値引きシール『フード・レスキュー』だ。
これは東京都環境局が主催する“フードロス・チャレンジ・プロジェクト”の一環で、通常の値引きシールに加えて「つれてって!」と懇願するキャラクターが描かれているもの。一時期は企業の廃棄食品横流しが話題となっていたものの、日本のフードロスの半分は家庭から発生しているので、まずは消費者の意識を変えようという意図のようだ。フードロスを減らすことは、環境・社会問題を解決するだけでなく、膨大な廃棄コストをかけている企業にとってもメリットとなる。一人ひとりの意識を変えることが、食品廃棄の減少につながっていくだろう。

02「低周波音被害」
- ■ 低周波音による体調不良
- ■ 未だ規制が無い現状
“省エネ”がうたわれ始めてからエコを意識した製品は増え、政府も省エネ製品を購入する家庭へ補助金を出している。そんな中、家庭電化製品が発する低周波音が連続して耳に入ることにより起こる健康被害が、『低周波音被害』として問題になっている。
低周波とは周波数が100ヘルツ以下の音のことを差し、人間の耳にはほとんど聞こえない。そのため、体調不良を起こしても低周波によるものだと自覚していない場合も多く、問題が表面化されにくい。過去には、空気の熱でお湯を沸かすことのできる給湯器の低周波音による不眠や、吐き気などの健康被害を訴えた人も居たという。だが低周波音の感じ方には個人差があり、未だに法律で低周波音を発する製品に対し規制が無いのが現状だ。省エネ製品が開発されている裏には人間の健康被害がある。これらの問題を解決しない限り、更なる省エネ製品の発展は難しいのかもしれない。

03「オリンピック・レガシー」
- ■ 五輪の“遺産”
- ■ 開催後も影響を残せるか
2020年の東京オリンピックに向け、施設やインフラの設備が進んでいる。また、オリンピックに伴う雇用増加、スポーツ活動の促進もあり、影響は様々な方面に及んでいるようだ。このような、有形・無形に関わらずオリンピックによる長期的な良い影響(遺産)のことを『オリンピック・レガシー』と呼ぶ。
IOC(国際オリンピック委員会)は、オリンピック・レガシーをスポーツ・社会・環境・都市・経済の5つに分類し、永続的な良い影響を開催国と開催都市に残すよう推進している。例えば、オリンピック施設を市民に開放してスポーツ体験をさせたり、オリンピックを機に新しい環境基準を定め、開催後も継続したりといったことだ。東京都では“レガシー委員会”を設立し、まちづくりや外国人の受け入れについて検討を進めている。オリンピックにかかる膨大な費用を有効活用するためにも、オリンピック・レガシーを意識した計画が必要とされるようだ。

04「まちなかワイナリー」
- ■ 商店街にワイナリー?
- ■ ワイン造りを身近に
ワイナリーといえば、緑豊かな田園の中に、広大な敷地を構えるもの。そんなイメージを覆し、商店街や繁華街の中に設置された小規模ワイン醸造所『まちなかワイナリー』が今、密かにその数を増やしているという。
その多くは空きビルや商店街のシャッター店舗を利用したもので、設備を最小限に抑え、「街の中で醸造する」ことを第一の目的にしている。東京や大阪などの大都市圏のほか、福島県でも復興事業の一環として今春から事業を開始するそうだ。「造る」過程を、街に住む消費者も間近に見ることができるまちなかワイナリー。ワイン造りを身近に感じられ、時には生産者から直接飲み方をレクチャーしてもらうこともできるため、それぞれの店舗は小規模ながら、売り上げは好調だという。ワインを楽しむことが日常的になりつつある日本で、まちなかワイナリーはワインの新たな楽しみを広げてくれそうだ。

05「クローズドSNS」
- ■ 「カギのかかる」SNS
- ■ SNS疲れを解消するツールに期待
今やすっかり日常に浸透したFacebookやTwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)。これらは世界中の誰もが投稿可能で、また基本的に誰の投稿にもコメントができる。しかしその一方で、SNS上で会社の知人とつながってしまったために、プライベートにも会社の人間関係が持ち込まれてストレスを感じる「SNS疲れ」と呼ばれる現象が広がっているのだ。
そこで今、匿名性で、投稿が一般には公開されないSNS『クローズドSNS』がじわじわとシェアを広げている。具体的には恋人同士に対象を絞ったSNS「Pairy」や、特定の会社専用のSNS「Flat」など。クローズドSNSでは限られた人とだけつながりを持てるため、逆に自由な投稿が可能になる。SNSに疲れたユーザーを取り込んで広がりつつあるクローズドSNSは、新たな市場を探すIT企業にとっても、注目のツールとなっていきそうだ。

06「褒めアプリ」
- ■ 「褒めて伸ばす」?アプリ登場
- ■ 業績アップに繋げる企業も
世の中に、楽しく働く人をもっと増やしたい――そんなコンセプトから開発された、社員同士で褒め合うためのアプリ、通称『褒めアプリ』が話題になっている。HoooPというこのアプリは、社内専用SNSアプリで、他の社員の「いいところ」にぴったりのバッジ(アイコン)を選び、コメントを添えて贈り合う。バッジには「ナイスアクション」や「熱血」「コミュニケーション」など、社会人として評価される様々なポイントのものがあり、その人の良さに合ったものを選ぶことができるという。
面と向かって褒め合うのは気恥ずかしく思う人が多いが、SNS上ならお互い照れずに褒め合える。このアプリを導入した企業では、社員のモチベーションが上がり、離職率が下がったという効果が見られたそうだ。また、業績アップにつながった企業もあるという。社員の良さが具体的に見えることで、人材活用にもつながる褒めアプリ。すべての企業で導入される日も遠くないかもしれない。

07「差別解消法」
- ■ 新しい法律が来月から施行
- ■ 認知度の低さによる問題も
2020年に東京で開催されるオリンピックだけでなくパラリンピックにも注目が集まる中、今年の4月から障害のある人への差別をなくし、全ての人がお互いを尊重し合いながら共生する社会の実現を目的とした法律である『障害者差別解消法』が施行される。
主な内容は障害のある人に対する「不当的差別の禁止」と「合理的配慮の義務」であり、役所や会社、店舗がその対象となる。しかし障害のある人たちのサービス向上への期待度の高まりに対して、全国調査では、「知らなかった」の声が上がるなど、この法の認知が遅れている。大手企業などでは対応マニュアルの作成を急いでいるが、それが従業員全てに徹底されるかについては不安の声も。全ての人が住みやすい社会づくりのためには役所や会社、店舗だけでなく、国民の一人一人がこの法を自身の事として理解することが大切なのではないだろうか。
