01「Brooklyn Microgrid」
- ■ 電力の地産地消
- ■ メリット多数で将来に期待
電力小売自由化が始まり、消費者が売り手を選べるようになった現代。自由といっても「企業と消費者」という関係が一般的だが、アメリカのブルックリンの一部では世界初の一般市民が電力を売買できるシステム『Brooklyn Microgrid(ブルックリン・マイクログリッド)』が運用されている。
マイクログリッドとは、小規模な施設で発電した電力を、その周辺地域で消費する仕組みのこと。電力の地産地消とも呼ばれ、遠距離送電によるエネルギーの無駄が出ないことや、停電が起きた時の予備電力になることなど、メリットの多さで注目を浴びている。アメリカでは数年前から国内のエネルギー効率を向上させる政策が行われており、ブルックリン・マイクログリッドを皮切りに、一般市民の電力売買も発展するかもしれない。
【参考URL】http://greenz.jp/2016/09/04/brooklyn_microgrid/

02「BLACKYOTO」
- ■ 日本伝統の染色が注目
- ■ ヨーロッパの若者に人気
古着や“訳あり商品”の流通が拡大する中、そこに一手間かけて差別化を図ったビジネスが話題となっている。
ファッションブランドの『BLACKYOTO(ブラックキョート)』は、ドイツの会社と日本の株式会社京都紋付がコラボしたブランドで、ミリタリーファッションの売れ残り品を日本の伝統技法で黒く染めなおした商品を取り扱っている。100年の歴史を持つ株式会社京都紋付は、特に深い黒を生み出す技術を持ち、この色が他に類を見ないとして、ヨーロッパを中心に人気を博しているという。さらに同社は日本の古着市場でもコラボを果たしている。古着を染め直すことで新品同様の見た目に生まれ変わり、通常の古着より高値を付けられるそうだ。難のある製品でも、新たな価値を付加すれば需要を生み出すことができるのだろう。
【参考URL】http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber3/preview_20160809.html

03「液体民主主義」
- ■ ITを使った新しい政治参加のかたち
- ■ 海外の政党「海賊党」が発案
近年、巨大で複雑さを増した現代の国家運営は、既存の直接・間接民主制では確度の高い正当性や党の運用に限界があるという声が聞かれる。そこで、ITを活用し直接・間接民主制の長所を合わせた新しい政治意思決定制度『液体民主主義』が、ドイツやチェコなどヨーロッパ諸国で活動する政党「海賊党」によって試みられている。
直接民主制の長所は、意思決定にコミュニティの全員が参加できること(正当性)。間接民主制の長所は、代表者のみで議論することでコミュニティが大規模でも民主制を維持できること(運用のしやすさ)。液体民主主義は、これらの長所を結び付け、政策の提案や政策の吟味を全党員で、かつ全てオンラインで行うことで実現可能にしたものだ。民主主義の欠点克服の試みである液体民主主義がどんな成果をあげるか、注目していきたい。
【参考URL】http://www.ikedahayato.com/index.php/archives/27401

04「RoBoHoN」
- ■ モバイル型ロボット電話
- ■ 人のパートナーとしての家電
この春シャープより発売された人型ロボットとスマートフォンを合体させた『RoBoHoN(ロボホン)』が、着実にユーザーの心をつかんでいるようだ。
RoBoHoNは、電話、メール、カメラなどスマートフォンの基本的機能を備えながら、人間型ロボットとして二足歩行や、高性能な音声認識機能による会話も可能だ。シャープは白物家電にAIや音声認識技術を搭載し、家電を人間の「ともだち」とするための挑戦を重ねてきた。人型でどこにでも携帯でき、ユーザーと思い出が共有できるRoBoHoNは、そんな挑戦の集大成といっても過言ではない。機能の高さだけではなく、パートナーとしての側面で選ばれるという、商品の新たな付加価値の道をシャープは開拓したといえるだろう。
【参考URL】http://www.sharp.co.jp/corporate/report/robohon2/

05「人工流れ星」
- ■ 流れ星を人工的に生み出す
- ■ 東京五輪開幕式を盛り上げる
流れ星がたくさん観測できる天体ショーがある度に、ニュースなどで話題になる中、『人工流れ星』が話題を集めつつある。
人工流れ星とは、その名のとおり人工的に流れ星を生み出し、夜空に降らせる試みのこと。その方法は、地球の衛星軌道上を周回している小型衛星から、流れ星の素となる小さな玉を放出させる。その玉が大気圏に突入して燃えることで、地上からは流れ星のように見えるとのこと。費用は一つの流れ星で、約100万円と非常に高額だが、開発者である株式会社ALE(エール)は、2020年に開催される東京オリンピックの開会式と閉会式を、人工流れ星で盛り上げることに意欲的だ。その他、様々なイベントで新たな演出を生み出せそうな人工流れ星。これからの発展に期待したい。
【参考URL】http://www.star-ale.com/?ja

06「しまパト」
- ■ しまむらで掘り出し物探し
- ■ SNSで拡散
流行を採り入れつつも低価格の衣料品を提供するファストファッションの人気が衰えない中『しまパト』をする若者が増えつつあるという。
しまパトとは、しまむらパトロールの略で、「ファッションセンターしまむら」を定期的に巡回し、かわいくて安い掘り出し物を見つけることを指す。衣服や小物など、しまパトで見つけた掘り出し物は「#しまパト」というハッシュタグとともに、インスタグラムやツイッターなどのSNS(ソーシャルネットワーク)に投稿されることで、若者に広く共有されているという。この影響もあってか、昨今の節約志向にも関わらずしまむらは今期売上を4期ぶりに最高益を更新する見通しだ。しまパトのような、掘り出し物を自ら見つけるこの動きの今後の広がりに注視したい。
【参考URL】http://www.nikkei.com/article/DGXMZO00327710S6A500C1000000/

07「ブルキニ」
- ■ 増えるイスラム教徒への反発
- ■ 欧州における多文化主義の壁
今年、テロが立て続けに起きたフランスで、イスラム教徒の女性向け水着『ブルキニ』の着用をカンヌ市などの各自治体が禁止したことが物議を醸している。ブルキニとは、イスラム教の戒律に合わせた水着で、「ビキニ」と顔を覆い隠すヴェール「ブルカ」を合わせたもの。手足の先と顔のみが露出しており、コーランの教えを破ることなく海水浴が出来るということで、人気を博している水着だ。しかし、イスラム過激派によるテロ行為への反発が善良なイスラム教徒にまで向けられており、「不適切な服装のため」などの理不尽な理由でブルキニを禁止するという騒動になったのだ。これはきっかけにすぎず、移民やイスラム教徒への差別問題にも発展しかねない。ブルキニだけではなく、フランス全体の問題としての解決が求められるだろう。
【参考URL】http://www.bbc.com/japanese/37203087
